ホンダ「フィット」トヨタ「アクア」日産「ノート」を比較してみた(2017)

スポンサーリンク
試乗記682×171

三つ巴の熱い戦いを繰り広げる「フィット」「アクア」「ノート」

「ノート」はe-powerの登場により、日産車で30年ぶりに月間販売台数の首位に立つなど、好調な売れ行きを示しています。

この「ノート」e-powerの台頭により、激しさを増しているコンパクトカーハッチバックの競争ですが、ライバル関係にあるホンダ「フィット」とトヨタ「アクア」が、偶然にも同じタイミングで、マイナーチェンジされ巻き返しを狙っています。

現行の3代目ホンダ「フィット」は、2013年に発売が開始されて4年が経過しており、そろそろテコ入れを行う時期で、今回のマイナーチェンジでは、フロントとリアの意匠変更を行っています。

フロントではバンパー下側部分をワイド感のある形状へと変化させ、シャープなイメージを持たせるデザインとしています。

リア部分ではコンビネーションランプのデザイン変更を行い、リアバンパーもフロントと同様に、下側部分の形状変更が行われ、ワイド感を与えるものになっています。

プラットフォームでは、前後のサスペンション取付部分、Bピラー、ルーフ、リアフェンダーなどに補強が加えられ、ショックアブソーバーバルブの見直しを行い、走行性能と乗り心地の両立を目指しています。

さらに遮音材にも改良が加えられ静粛性も高められています。

燃費ではエンジンの軽量化、燃焼効率の改善を行い、さらに空力特性の改良と相まって、ハイブリッドシズテム、ガソリンエンジンともに性能を向上させています。

「アクア」のマイナーチェンジは、今回で2度目となりますが、2度目のマイナーチェンジが実施されるのは珍しく、多くの場合は1度で、その次はフルモデルチェンジされるのが通例です。

今回の変更はフロントマスクのデザインが変わり、ヘッドランプは厚みを抑えたスッキリとした細長いデザインとなり、それにあわせてボンネットフード、フロントフェンダーも変更されています。

フロントバンパーは両サイドがより空力を意識した形となり、フロントグリルはバンパーを左右に分けるようにロア部分まで延ばされ、イメージ的には「ヴィッツ」に近い顔立ちとなっています。

リア部分ではリアコンビネーションランプのデザインを変更し、バンパーには縦型に細い反射板を設置しています。

走行性能や乗り心地に深く関与するプラットフォームでも、ロアのバックパネル部分の補強を行い、ショックアブソーバーも新型を採用し乗り心地を改善させています。

「アクア」を含めてトヨタ車の美点である燃費も、ハイブリッドシステムの洗練とエンジンを改良し性能を向上させています。

コンパクトハッチバックに旋風を巻き起こした、「ノート」e-Powerを含めてマイナーチェンジされ登場した、「フィット」「アクア」を比較してみたいと思います。

比較したグレードは、「フィット」13G・L、「アクア」S 、「ノート」e-power X、で「フィット」はハイブリッド車が間に合わず、ガソリン車の試乗となりました。

スペースを重視する「フィット」「ノート」に対してスタイルを追求する「アクア」

フィット 13G・Lアクア Sノート e-power X
全長(mm)3,9904,0504,100
全幅(mm)1,6951,6951,695
全高(mm)1,5251,4551,520
ホイールベース(mm)2,5302,5502,600
車両重量(kg)1,0301,0901,210

「フィット」「アクア」「ノート」のカタログスペックを確認してみます。

全長とホイールベースは「ノート」が最も長く、全高は「フィット」が最も高くなっています。

「アクア」は全高の低さが際立っています。

車両重量はガソリンエンジンの「フィット」が最も軽くなっていますが、ハイブリッドモデル(F)は1,140kgですので、「アクア」の軽量化が進んでいることが分かります。

「ノート」は「アクア」よりも、100kg以上も重い車両重量となっています。

「フィット」はマイナーチェンジで、バンパー下の形状が変わり、ラインが多いコッテリ系の顔つきへと変化しています。

「アクア」のフロントマスクは「ノート」「フィット」と比べると、メッキモールも控えめでスッキリとしたデザインとなっています。

「ノート」は従来からのオーソドックスな車造りで、大きなヘッドランプが存在を主張するフロントデザインです。

マイナーチェンジで、複雑な顔つきへと変化させた「フィット」と、スッキリとさせた「アクア」では、対照的なデザインとなっています。

「フィット」は「アクア」や「ノート」と比較すると、ズングリとした印象でしたが、バンパー下の形状が変えられたために、その印象が幾分和らいで見えます。

「アクア」は全高が低くスタイルと空力を意識した、クーペ的なフォルムを持っています。

「ノート」はスタンダードな、コンパクトカー造りを感じさるのですが、ややコンサバティブで新鮮味に欠けるデザインです。

「フィット」「アクア」はリアルーフスポイラーが標準装備ですが、「ノート」はオプション設定となっています。

「フィット」「ノート」のアンテナはポール型で、「アクア」はシャークフィン型が装備されます。

「フィット」のリアバンパーは、目立たない薄いデザインを採用していますが、「アクア」はボリュームを感じさせる存在感の強いデザインです。

「ノート」は「フィット」「アクア」の中間に位置するような形状をしています。

燃費性能では「アクア」が優位に立つ

フィット13G・Lアクアノート

e-power X

フィット・ハイブリッド F
エンジン排気量(L)1,3171,4961,1981,496
最高出力(kW[PS]/rpm)100/6,00074/4,80079/5,400110/6,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)12.1/5,00011.3/3,600-4,40010.5/3,600-5,20013.7/5,000
モーター最高出力(kW[PS]/rpm) ∗61109/3,008-10,00029.5/1,313-2,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) ∗17.225.9/0-3,00816.3/0-1,313
JC08走行燃料消費率(km/L)24.634.434.034.0

*比較対象として仕様の近い「フィット」ハイブリッド Fを併記しています。

カタログスペックの燃費性能は「アクア」が優れており、「フィット」ハイブリッドと「ノート」は同じ性能となっています。

「フィット」1.3L L13B型エンジン。

「アクア」1NZ-FXE型エンジン。

「ノート」HR12DE型エンジン。

「フィット」13G・LはHonda SENSINGが装備されて、タイヤサイズは185/60R15で、タイヤはブリジストンエコピアが装着されています。

「アクア」Sのタイヤサイズは、185/60R15でタイヤはブリジストンエコピアが装着されています。

「ノート」e-power Xのタイヤサイズは、185/70R14でタイヤはブリジストンエコピアが装着されています。

装着タイヤは3車ともにブリジストンエコピアが装着されて、「ノート」は70扁平率のタイヤを採用しています。

質感高く仕上げられた「アクア」のインテリア

「フィット」のインパネは、ベーシックに近いガソリンモデルのために、若干ビジネスライクに感じられる仕上げです。

空調の操作は未来的なタッチパネル式となっていますが、操作の確実性は今一つの印象です。

「アクア」は質感が高く、ステアリングにもピアノ調のブラックを配するなど、上手く仕上げています。

空調の操作系も立体的な作りから、フラットに近いものに変えられて、トレンドの流れを汲みスッキリとさせています。

「ノート」は乗降性を高めた、Dシェイプステアリングが特徴ですが、インパネは立体感のある凹凸がある作りで、現在のトレンドの流れからすると、やや過去のデザインとも感じられます。

ドライビングポジションは、「アクア」がヒップポイントの低いスポーティなポジションになるのに対して、「フィット」「ノート」はそれよりも高く、見晴らしの効くポジションになっています。

室内は「フィット」のスペース効率の高さが光る

フィットアクアノート
室内寸法長さ(mm)1,9352,0152,065
幅(mm)1,4501,3951,390
高さ(mm)1,2801,1751,255

室内の広さは「フィット」「ノート」が優れており、背の低いクーペ的な「アクア」は特にリアシートが窮屈になっています。

カタログスペックでの室内長は、「フィット」は「ノート」「アクア」に劣っているのですが、実際に乗ってみると、リアシートの足元の空間の広さや、横方向への余裕も大きく、MM思想による巧みなパッケージングが覗えます。

「アクア」のリアシートは、低いルーフに対応するために、座面を凹加工しヘッドスペースを確保しているのですが、体が沈み込むので開放感に欠けます。

又、足元の空間も不足しており長距離のドライブでは辛い広さです。

「ノート」はロングホイールベースによる長い室内長で、リアシートの足元空間も十分な広さですが、横方向への広さが「フィット」より狭くなっています。

ラゲッジの広さは「フィット」と「ノート」互角だが使い勝手は「フィット」に軍配が上がる

ラゲッジスペースは、「ノート」はタイヤハウスの張り出しが、やや大きく感じられますが、「フィット」とほぼ同程度の容量を確保しています。

「アクア」のラゲッジは、「フィット」「ノート」よりも狭く積載量では劣っています。

ラゲッジのみでは、同程度の広さと言える「フィット」「ノート」ですが、リアシートを倒し込んでの使い勝手では、フラットなフロアとなる「フィット」に軍配が上がります。

さらに「フィット」は、リアシートの座面を跳ね上げて、スペースを作り出すことも出来るので、荷物に応じて柔軟に対応することが出来ます。

乗り心地が大幅に向上した「フィット」改良が実感出来ない「アクア」

「フィット」「アクア」ともに、ボディの補強を行い、改良型のショックアブソーバーを装着し、乗り心地と走行性能の改善をテーマに、今回のマイナーチェンジを行っています。

このマイナーチェンジで、どれ程の変化を遂げたのかを試乗で確かめてみます。

マイナーチェンジ前の「フィット」は、フラットな乗り味でシャープなハンドリングが特長で、コンパクトカーらしいキビキビとした操縦性をもっていましたが、引き換えに足回りは硬めにに感じられる乗り心地でした。

新型車ではキビキビ感は失わずに、しなやかさをプラスしています。

マイナーチェンジされる前は、カーブに入って行くと、ロールはしないでバンッと突っ張る感じで曲がって行く感覚でしたが、マイナーチェンジ後は穏やかにロールをさせて曲がって行く感覚です。

このしなやかさを身に着けた足回りは、ボディの補強と相まって路面からの入力をマイルドなものへと変え、突き上げ感の少ない良好な乗り心地へと変えています。

足回りはしなやかになっていますが、ステアリングの反応は相変わらずクイックな応答性を持っていますので、キビキビ感は失われていません。

室内の静粛性も遮音材の改良によりレベルアップしており、ロードノイズの侵入を良く抑えて、静かな室内を実現させています。

次に「アクア」は鋭角さを感じるフロントから、丸みを帯びたラインとなり、ボリュームを感じる顔付へと変化しています。

マイナーチェンジにより、改良したとされる走行性能や乗り心地には、それ程の進化は感じとれませんでした。

確かに改良された足回りは、素直な動きをしているように感じられますが、明確に旧型を凌駕するようなところまでは到達していない印象です。

モーターからエンジンへの切り替えのスムーズさは、ハイブリッドシステムに精通する流石にトヨタと思わせるところはありますが、心躍るような昂りではありません。

さらに「アクア」を試乗して最も気になったのが、ロードノイズの大きさです。

路面の状態にも左右されますが、スピードが上がるにつれてゴーと言う音が侵入し、低速で静かにモーター走行する場合との差が激しく少々残念な印象です。

ステアリングも従来からのフツーの反応で、運転はし易いが面白味は少ないと思える特性です。

今回の「アクア」のマイナーチェンジでは、フロントデザインの変更と燃費性能の向上に、多くのエネルギーが使われているように感じられ、本格的なボディの改良は、TNGAを採用すると思われる次期モデルに持ち越されたようです。

最後に「ノート」はトルクフルなモーターで加速するところに魅力があります。

変速無くスルスルと加速させるフィーリングは、やや重めの車重を感じさせることなく、スムーズにスピードが上がる独特のものです。

ガソリンエンジンのパワフルさとは違うものですが、非力と思われがちなコンパクトカーの観念を打ち破る力強さです。

さらにエンジンは駆動用に使用されないために、使用領域と回転数をある程度限定的に動かすことが可能で、振動を強く感じる停車時や低速域では極力始動しない設定にされています。

この巧みなセッティングにより、静かに感じられる場面が多く、静粛性が高い車に感じさせることに成功しています。

乗り心地は重めの車重もあり、コンパクトカーとしては落ち着きを感じさせるもので、路面からの入力もマイルドに抑えられています。

しかし落ち着き過ぎているところもあり、コンパクトカーらしい軽快な動きは感じられず、安定性重視のセティングは、ドライビングの楽しさが少ない印象です。

また、ワンペダルドライブと言われる、減速が強く表れる挙動も慣れが必要で、アクセルを放すタイミングを微妙に調整する必要があります。

「フィット」のHonda SENSINGは「アクア」「ノート」をリードする

フィット Honda SENSINGアクア Toyota Safety Sense Cノート インテリジェントエマージェンシーブレーキ
衝突回避軽減ブレーキ歩行者・車両車両のみ歩行者・車両
車間距離制御ありなしなし
車線維持警告+アシスト警告のみ警告のみ
歩行者事故低減ありなしなし
全方位モニター・移動物検知なしなしあり
オートマチックハイビームなしありなし

安全運転支援システムの機能では「フィット」が「アクア」「ノート」を上回っています。

「フィット」は車線を逸脱すると、警告を発するとともに正しい位置に戻るように、ステアリングにトルクを与え操作をアシストします。

また路側帯の車線を越え、歩行者に衝突しそうになると、警告とステアリングへのアシストで、事故回避への支援を行います。

「アクア」は夜間での走行に便利なオートマチックハイビーム、「ノート」は駐車時に活躍するアラウンドビューモニターに、車の周囲の移動物を検知する機能を持つことが特長となっています。

「フィット」のコストパフォーマンスの良さが光る

2WDフィット ハイブリッド Fアクア Sノート e-power X
メーカー希望小売価格(円)1,815,4801,886,7601,959,120
安全運転支援システム108,00054,00097,200
合計金額(円)1,923,4801,940,7602,056,320

*「フィット」は試乗した13G・Lでは無く、仕様が近いハイブリッド Fで比較しています。

メーカー希望小売価格に、安全運転支援システムを装備した価格を比較すると、最もお買い得なのは「フィット」になっています。

では、もう少し現実的に必要なオプションを装備して比較してみます。

2WDフィット ハイブリッド Fアクア Sノート e-power X
メーカー希望小売価格(円)1,815,4801,886,7601,959,120
安全運転支援システム108,00054,00097,200
サイドエアバッグ・カーテンシールドエアバッグHonda SENSINGに含む43,20048,600
LEDヘッドランプ70,200108,00075,600
LEDフォグランプ
スマートエントリーパッケージ43,200
合計金額(円)1,993,6802,135,1602,180,520
エコカー減税額(円)77,60069,60077,000

「フィット」は安全運転支援システムに加え、サイドエアバッグ・カーテンシールドエアバッグ、LEDヘッドランプ、LEDフォグランプを装備しても、「アクア」「ノート」よりも価格は安く、非常にお買い得と思える設定です。

「アクア」はプッシュエンジンスタートなどの、スマートエントリーシステムがオプションになるなど、必要と思える装備が標準で少ないことがネックとなっています。

「ノート」は車両本体価格の高い設定がそのまま反映して、3車の中では最も高い金額となっていますが、安全運転支援システムの機能を考えると、「アクア」との金額差45,360円は小さいと思えます。

走り、広さ、価格、予防安全、四拍子が揃う「フィット」

「フィット」「アクア」「ノート」を比較して、最も柔軟的に使えて対応力が高いと思えるのは「フィット」で、価格も最も低く抑えられています。

リアシートとラゲッジスペースの機能と広さは、ファミリーユースにも十分に対応でき、ドライビングも楽しめる操縦性を備えています。

搭載される安全運転支援システムHonda SENSINGは、ライバルを凌ぐ機能でコンパクトカーとしては、現在最も良いと思える性能です。

「ノート」の室内やラゲッジスペースは、「フィット」とほぼ同等と思えるのですが、使い勝手では「フィット」に及ばない感じです。

しかし、圧倒的なトルクを発生するモーターの加速は魅力的で、室内の静粛性も高く保たれており、価格は高くなっていますが、「ノート」を選んでも後悔することは無いと思われます。

「アクア」を選ぶとすると決め手となるのは、クーペのように低くてスタイリッシュなスタイリングと室内の質感の高さです。

リアシートやラゲッジスペースは、スタイルのために犠牲になっていますが、パーソナルな使い方なら十分に使える広さです。

スタイリッシュなコンパクトハッチと、割り切った使い方をすれば、室内は質感が高く仕上がっていますので満足感が得られる車です。

スポンサーリンク
試乗記682×171
試乗記682×171

シェアする

フォローする

関連コンテンツユニット1