「フィット」ハイブリッドモデルはどう進化したか
2013年に登場した3代目「フィット」が、4年目を迎えマイナーチェンジが実施されました。
今回のマイナーチェンジでは、目に見えない部分にも大きな改良が施され、ボディ剛性の強化やショックアブソーバーの設定最適化で、トータルなパフォーマンスを高めています。
このマイナーチェンジで進化した「フィット」のガソリンモデルに続いて、売れ筋とされるハイブリッドモデルの試乗を行ってみました。
ハイブリッドモデルはガソリンモデルと比べて、走行性能にどのような違いがあるのか、確かめてみたいと思います。
試乗したグレードはスポーティーな仕様のハイブリッド “S” です。
“S”グレードは空力特性を高めるスポーティなスタイル
“S”グレードは専用のスポーティフロントバンパーが装着され、フォグランプも丸形のものが採用されています。
バンパーは前方に伸ばされ、追加されたピアノブラックのアンダースポイラーが、空力効果を高めています。
サイドから見るとフロントバンパーが長くなり、前方に延ばされたのが良く分かります。
サイドシルガーニッシュも標準装備となっています。
リアバンパーはディフューザー形状のロアスポイラーが追加され、フロント同様に空力を向上させています。
大型のテールゲートスポイラーが装着されスポーティな雰囲気を高めています。
燃焼効率を改善した1.5ℓLEB型エンジンは、最高出力110PS/6,000rpm、最大トルク13.7kgf・m/5,000rpmのスペックです。モーターパワーがプラスされたシステム最高出力は137PS、最大トルク17.3kgf・mです。
“S”グレードのタイヤサイズは185/55R16で、タイヤはダンロップSPスポーツ2030が装着されています。
標準装備の本革巻のステアリングは、触感が良く手に馴染む仕上げになっています。
メイターパネルは、中央にスピードメーター、左側にパワーメーター、右側にはマルチインフォメーションディスプレイの配置で、マルチインフォメーションディスプレイには、Honda SENSINGの設定項目も表示されます。
ステンレス調のスポーツペダルも“S”グレードには標準装備となります。
ブラックコンビシート&専用インテリアで、スポーティな仕上げで質感を高めた仕様としています。
ハイブリッドモデルはクラスを超える落ち着きの走り
「フィット」のハイブリッドモデルに乗り直ぐに感じるのは、落ち着きのある走りです。
その大きな要因と思えるのが車両重量の違いで、ハイブリッドモデルはガソリンモデルよりも100kg(Sグレードでの比較)重くなっています。
このため、改良を施されたダンパーを持つサスペンションに加重が掛かり、補強で剛性が増した取付部はそれを支え、しっかりとストロークさせているのが感じられます。
落ち着きがある走りと表現してしまうと、鈍重な車だと誤解を招きそうですが、決して重さを感じさせる走りでは無く、コンパクトカーらしい俊敏性は従来通りの走りです。
ステアリングは相変わらずクイックな反応で、車はそれに良く追随し応えて来ます。
車両重量の違いは、乗り心地にも違いを生み出していて、ハイブリッドモデルはガソリンモデルよりも、一クラス上の車に感じられます。
低扁平のタイヤを装着しているにも関わらず、尖った突き上げ感が無く、路面からの入力はマイルドに抑えられています。
さらに遮音ガラスや、ダッシュボードに吸音材などを追加したことによる、静粛性を高めた室内は、クラスを超える上質な空間を作り出しています。
7速のDCTはギクシャクとした動きが無くなり、微低速でもスムーズに加減速を繰り返し、カックンとしたブレーキフィールは、自然で素直な効き味を示すようになり、熟成が進んでいることを改めて感じさせます。
クラスを超えると感じる「フィット・ハイブリッド」ですが、少し気になるのはステアリング切り始めの、サスペンション初期ロールの速さです。
ガソリンモデルでも感じられたのですが、ハイブリッドモデルでは車両重量が増しているためか、それよりも速く感じられます。
初期のロールが収まると、そこから先はジワッと沈み込み安定するので、不安は無くなるのですが、その動作が読めない最初は、ステアリングを操作する手に力が入ります。
加えてもう一つ気になるのはエンジン高回転域での音の侵入です。
市街地を走るような通常のスピード域では、静かな空間を作り出している「フィット」ですが、エンジンの高回転域を使うような走りをすると、車内はそれなりに騒々しく賑やかになります。
この高回転域エンジン音の侵入は、クラスとして特別に煩い訳ではないのですが、通常良く使う回転域が静かなために少々残念に思える部分です。
今回試乗した「フィット」ハイブリッド “S ”Honda SENSINGのメーカー希望小売価格は、2,205,360円(FF)となっています。
「フィット」のお勧めグレードを考えたのはこちらの記事です。
「フィット HYBRID・S Honda SENSING 」の予防安全性能が公表されました。
「フィット」の見積りを行った記事はこちらです。
