ホンダ新型「インサイト」試乗してみた

ホンダの新型「インサイト」が4年の空白期間を経て国内ヘと回帰し、2018年12月14日に販売が開始されました。

新型「インサイト」は通算3代目となるモデルですが、初代は1999年にホンダ初のハイブリッドカーとして発売されました。

初代は徹底した軽量化と空気低減を進めた2シータークーペボディを採用し、ハイブリットの燃費の良さを追求した極端なモデルでした。

このため先進的なコンセプトは大きな評価を得ましたが、極めて実用性が低い車だったため、多くのユーザーに受け入れられることなく、2006年に生産を終了しています。

続く2代目「インサイト」は3年後の2009年に登場し、初代の極端なコンセプトの見直しを図っています。

ボディは5ドアハッチバックで実用性を高め、パーツは他のホンダ車両との共通化を進めたことで、低コスト化を実現させたモデルでした。

この低価格ハイブリッド車は、トヨタに大きなインパクトを与え、2代目「プリウス」の価格設定にも、影響を及ぼしたとされています。

しかし、電動アシスト自転車と揶揄された、「インサイト」のハイブリッドシステムは魅力に乏しく、販売では「プリウス」に大敗する結果となり2014に生産を終了します。

ホンダはこの2代に渡る不振から、「インサイト」の車名を封印すると考えられていましたが、2代目生産終了から4年後の2018年1月に、3代目のプロトタイプを発表し、同年の夏より北米で販売を開始します。

試乗する新型「インサイト」は、この北米で先行販売されるモデルを、国内向けの仕様とし投入されるもので、2代目のコンセプトとは違いミドルクラスの4ドアセダンです。

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新型「インサイト」のスペック

全長(m)4,675
全幅(m)1,820
全高(m)1,410
ホイールベース(m)2,700
車両重量(kg)1,370~1,390
最小回転半径(m)5.3
エンジン型式LEB
排気量(L)1.496
最高出力(PS/rpm)109/6,000
最大トルク(kgf・m/rpm)13.7/5,000
モーター型式H4
最高出力(PS/rpm)131/4,000~8,000
最大トルク(kgf・m/rpm)27.2/0~3,000
燃費性能JC08モード(km/L)31.4~34.2
WLTCモード(km/L)25.6~28.4
サスペンションマクファーソンストラット式
マルチリンク式
ブレーキベンチレーテッドディスク
ソリッドディスク

新型「インサイト」は全長4,675m全幅1,820mで、「シビック」セダンの全長4,650m全幅1,800mより僅かに大きいサイズです。

プラットフォームを共有することから、「インサイト」のホイールベースは「シビック」と同じ2,700mですが、車両重量は「シビック」セダンの1,300~1.,320kgに対して、1,370~1,390kgと重くなっています。

1.5Lのエンジンは熱効率のよいLEB型が搭載され、2モーターとなるH4の出力131PSは、「CR-V」「オデッセイ」などと比べると、やや控えめな数値です。

新型「インサイト」はトレンドに合わせたベーシックセダン

フロントのメッシュガーニッシュから、ヘッドライトへと続くデザインは、「シャトル」に近似性を感じますが、大きなフロントグリルはミドルクラスの力強さがあります。

ボンネットフードは歩行者との衝突を感知すると、後部を持ち上が歩行者頭部の衝撃を低減する、ホップアップシステムを採用しています。

ルーフがリア向かい一気に下降する、ファストバックスタイルの「インサイト」は、6ライトウィンドのデザインを採用し、躍動感と軽快感を伝えます。

リアはボリュームのあるバンパーと、段差のあるトランクリッドでデザインされ、リアコンビネーションランプカバーが、ボディの一部を構成します。

トランクリッドセンターの凹みは、「CR-V」のリアスタイルと共通性を感じるデザインです。

この角度から見るとキャビンより、リアフェンダーが大きく張り出し、力強く迫力のあるボディラインです。

トランクスポイラーは控えめな大きさですが、ウィングタイプを採用しています。

1.5LのLEBエンジンと、2モーターを搭載するスポーツハイブリッドi-MMDは、基本的にエンジンで発電しモーターで駆動しますが、高速域ではエンジンがモーターをアシストするシステムです。

タイヤサイズは215/50R17で、タイヤはブリヂストントランザが装着されています。

外観と同様にオーソドックスなインテリア

助手席側へなだらかに下がるインパネは、オーソドックスなデザインですが、センターにはボジションセレクトレバーがなく、セレクトスイッチを配置するのが特徴です。

2眼タイプのオプティトロンメーターは、右側にスピードメーター、左はマルチインフォメーション・ディスプレイが配置され、ハイブリッドシステムのエネルギーフロー、安全支援情報、ドライバー注意力モニターなどが表示されます。

ポジションセレクトレバーのないセンターインパネには、D、Nポジションセレクトスイッチが備わり、エコ、ノーマル、スポーツの走行モード切替スイッチも配置されます。

“EX・BLACK STYLE”と“EX”グレードには、ステアリング左に減速セレクターが備わり、減速力を3段階に調整することが可能で、状況に合わせて使い分けることができます。

’EX・BLACK STYLE”には、本革×ウルトラスエードのブラック加飾、“EX”グレードはプライムスムース×ファブリックシートが使われます。

リアシートはファストバックスタイルのため、頭上空間が少なめですが、膝周りはセダンとして標準的な広さがあります。

トランクルームはハイブリッドシステムの、インテリジェントパワーユニット(IPU)を小型化し、リアシート下に格納したため、VDA方式で519Lの容量があり、外観からは想像できないほどの大きさを確保しています。

また、開口部もバンパーの高さから開き、トランクスルー機構も備えるため、実用的で使い勝手に優れています。

2モーターのスムーズな走りが際立つ「インサイト」

クルスタルレッドメタリックに塗られた「インサイト」と対面します。

ボディは全幅が1.8mを超え、全長は4.6mを超える堂々たるミドルクラスセダンですが、それを誇示するような威圧感がなく、大きさへの不安感を与えないジェントルな佇まいです。

インラインタイプのLEDヘッドランプは、横に長くシャープな印象ですが、やり過ぎた感じがなく、セダンとして違和感のない顔つきです。

室内に乗り込むと見慣れたポジションセレクトレバーはなく、一瞬戸惑いますが、助手席との間に遮るものがない室内は広がりを感じます。

インテリアは基本を押さえ忠実に仕上げた印象で、凝った加飾や特別の装備で、プレミアム感を演出する手法はとられておらず、フツーに使えるセダンを目指した質実な作りです。

パワーシートを調整しポジションを合わせると、助手席側へ向かって低くなるインパネは、前方への視界が良好で、実際のサイズ以上に車の大きさを感じさせない安心感があります。

Dボタンを押し走り出すと2モーターの加速はスムーズで、パワーに余裕を感じさせる静かな走りです。

基本的な駆動をモーターが行うシリーズハイブリッドのi-MMDは、予期しないところでエンジンが始動し、走行感覚とは多少のズレが生じますが、市街地走行での振動は穏やかで気になるレベルではありません。

ステアリングは径が太く握り難く見えるのですが、実際には適度な太さで、スムースレザーの手に馴染む感触と合わせて、優れた操作性を提供しています。

ドライブ中の「インサイト」は、ステアリングの操作にナチュラルな反応をみせ、切った分だけ曲がる印象です。速度が上がっても過敏で落ち着きのない動きはなく、サイズに相応した非常に扱い易いステア特性です。

ホンダはクイックに反応するステアリング特性を、多くの車に与えていましたが、近年ではその特性をもちながらも、車に合わせた操作感を追求しており、操作性と安定性を高いレベルで両立させています。

サスペンションは「シビック」と同じフロントマクファーソンストラット、リアマルチリンクの4輪独立方式ですが、「シビック」とは違いしなやかなで乗り心地が良く、道路の凹凸も上手くこなす足回りです。

カーブでは多少のロールがありますが、不安定に感じさせるところがなく、路面を4つのタイヤが良く捉えて曲がり、サイズを感じさせない軽快感があります。

また、シートもゆったり乗ることを重視しているため、サイドサポートはそれほど強くないのですが、速いスピードでカーブを抜けても、体の滑りは僅かで正しくホールドされます。

「インサイト」の室内静粛性は高く、クラスに相応しい静かさをもっているのですが、荒れた路面ではロードノイズの侵入が大きくやや気になる部分です。

国内へと回帰した「インサイト」は、3ナンバーでミドルクラスのボディですが、その本質は高級セダンではなく、フツーに使うセダンを目指しています。

価格はベースグレードの“LX”でも3,261,600円から始まり、トップグレードの“EX・BLACK STYLE”では3,628,800円に達しますが、室内はシンプルに作られ、日本的な豪華さを期待すると裏切られます。

スタンダードでサイズに余裕があり、荷物も多く積め使えるセダンが希望なら、「インサイト」はおすすめの車です。

新型「インサイト」のメーカー希望小売価格は、ベースグレード“LX”3,261,600円、中間グレード“EX”3,499,200円、トップグレード“EX・BLACK STYLE”3,628,800円です。

「インサイト」の予防安全性能評価が公表されました。

ホンダ「インサト」の予防安全性能評価を公表 | tatumiの車探訪記
ホンダ「インサイト」の予防安全性能評価試験が、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)より公表されました。「インサイト」が搭載するHonda SENSINGは、ミリ波レーダーに単眼カメラを組み合わせた安全運転支援システムで、その性能は次のように説明されています。
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