ホンダ「インサイト」トヨタ「カムリ」比較してみた

セダンの復権を目指すホンダ「インサイト」とトヨタ「カムリ」を比較してみます。

近年はSUVを中心に1BOXワゴンが人気となっていますが、「インサイト」「カムリ」は安定性や操縦性に優れるセダンの良さを、改めて認識させられる車です。

「インサイト」「カムリ」はともに、ミドルクラスセダンですがその生い立ちは違い、特に「インサイト」の初代は、ホンダ初の2シーターハイブリットカーとして登場します。

しかし、この初代は燃費性能に拘り、あまりに極端過ぎたコンセプトのため、一部のユーザーが評価するのみで販売は低迷しました。

続く2代目は初代の反省から、多くのユーザーに受け入れられる、5ドアハッチバックスタイルとし、車両価格もハイブリッドカーとしては、部品共用化により下げられたモデルでした。

しかし、この2代目もハイブリッドシステムが、ライバルのトヨタ「プリウス」と比べると見劣りしたことから、販売は低迷し生産を終了してしまいます。

この、2代に渡る不振から再起を目指す現行3代目「インサイト」は、2代目のコンセプトを変え、ミドルクラスのセダンボディで登場します。

2代目では泣き所だったハイブリッドシステムも、2モータースポーツハイブリッドi-MMDを搭載し、高い動力性能と燃費性能を実現させています。

一方のトヨタ「カムリ」は当初からセダンボディで登場し、世代によりステーションワゴンが存在する、初代よりミドルクラスの車両として開発された車です。

現行は9代目(10代目説もあり)となるモデルですが、主な販売は海外で行われており、国内では同じトヨタのミドルクラスセダン「マークX(Ⅱ)」の人気に敵わず、陰に隠れた存在です。

このため「カムリ」は海外での需要に合わせ、モデルチェンジを重ねるごとにボディサイズを拡大し、現在では「クラウン」を超える大きさとなっています。

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「インサイト」「カムリ」スペックを比較

インサイトカムリ
全長(m)4,6754,910
全幅(m)1,8201,840
全高(m)1,4101,445
ホイールベース(m)2,7002,825
最小回転半径(m)5.35.7~5.9
室内長さ(m)1,9252,030
幅(m)1,5351,535
高さ(m)1,1601,185

「インサイト」と「カムリ」のサイズを比べると、「カムリ」は全長、全幅、全高ともに大きく高く、ホイールベースも長くなっています。

このことから室内の長さと高さは「カムリ」が大きくなっていますが幅は同じ広さです。

最小回転半径は「インサイト」が優れており、切り返す場合や狭い場所での取り回しに優れています。

「インサイト」はモーターが強く「カムリ」はエンジンが勝る

インサイトカムリ
エンジン排気量(L)1.4962,487
最高出力(PS/rpm)109/6,000178/5,700
最大トルク(kgf・m/rpm)13.7/5,00022.5/3,600~5,200
モーター最高出力(PS/rpm)131/4,000~8,000120/非公表
最大トルク(kgf・m/rpm)27.2/0~3,00020.6/非公表
車両重量(kg)1,370~1,3901,540~1,600
燃費性能(km/L)JC08モード31.4~34.228.4~33.4
WLTCモード25.6~28.4
サスペンションフロントマクファーソンストラット式マクファーソンストラット式
リアマルチリンク式ダブルウィッシュボーン式
ブレーキフロントベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスク
リアソリッドディスクソリッドディスク

エンジンの排気量は「インサイト」が1.5Lなのに対して、「カムリ」は2.5Lと大きくそのため、最高出力や最大トルクは「カムリ」が「インサイト」を上回っています。

しかし、モーターの最高出力と最大トルクは「インサイト」が上回り、燃費性能でも「インサイト」が「カムリ」をリードしています。

車両重量は「インサイト」が軽く「カムリ」はやや重い車重です。

躍動感の「インサイト」オーソドックスな「カムリ」

「インサイト」は直立したフロントグリルがあり、それに続きボディラインを繋げるオーソドックスなデザインですが、「カムリ」はフロントの中心を前へ押出し上部へスラントさせた、安定感を与えるアグレッシブな印象です。

「インサイト」のフロントグリルはメッキガーニッシュを使い煌びやかな顔つきですが、「カムリ」は光ものを使わないシックなフロントマスクです。

ボンネットフードは「インサイト」が大きめの凹凸を作り力強い印象をもたせます。

6ライトウィンドの「インサイト」はエレガントな印象を与え、「カムリ」は「インサイト」に比べるとオーソドックスなセダンに見えます。

ハッチバックのように見える「インサイト」に対して、「カムリ」はトランクが存在感を示すリアスタイルです。

この角度から見ると「インサイト」「カムリ」は、ファストバックスタイルなのが良くわかりますが、「インサイト」はよりそれを強めクーペのようなラインです。

「インサイト」はLEB型1.5LエンジンとH4型モーターを、「カムリ」はA25A-FXS型2.5Lエンジンと3NM型モーターを搭載します。

「インサイト」のタイヤサイズは215/50Rの17インチが装着され、「カムリ」は235/45Rの18インチサイズが装着されます。「カムリ」のタイヤサイズは「インサイト」より扁平率が低い設定です。

タイヤは「インサイト」「カムリ」ともに、ブリヂストントランザが装着されます。

プライムスムースのソフトパッドを使い質感を高める「インサイト」に対して、「カムリ」はソフトパッドに木目調のパネルも加え豪華さを演出します。

「インサイト」「カムリ」ともに、2眼タイプのオプティロンメーターを採用し、「インサイト」は左側のメーターに、マルチインフォメーションディスプレイ機能をもたせ、「カムリ」はセンターに、マルチインフォメーションディスプレイを配置します。

「インサイト」はインパネ上部を助手席に向かい低くしていますが、「カムリ」はフラットに近い形状としています。このため「インサイト」は左前方への視界が良く、車幅感覚が掴み易くなっています。

「インサイト」のポジションセレクトレバーがないセンターインパネも特徴的です。

「インサイト」は本革×ウルトラスエードのコンビシートを採用し、「カムリ」はパーフォレーション加工を施した本革シートです。

「インサイト」のシートは「カムリ」と比べると、スポーティーである程度のホールド性があり、「カムリ」は包み込むような厚みを感じさせるシートです。

「インサイト」のリアシートはフラットで、ホールド性がなく体がズレ易い形状ですが、「カムリ」のリアシートはサイドサポートがあり体が安定する形です。

ヘッドスペースは「カムリ」に余裕が感じられ、足元や膝周りなどは「インサイト」が広い印象を受けますが、極端な差ではなくほぼ同レベルの広さです。

ただし、「カムリ」のサイドシルは厚く、幅が広いため乗降性に影響があり、衣服の裾が干渉し汚れる心配があります。

「インサイト」のVDA法によるトランク容量519Lに対して、「カムリ」は524Lの容量があり、若干ですが「カムリ」が「インサイト」を上回る容量です。

積載性は「インサイト」のトランク開口部が、「カムリ」より低い位置で開き使い勝手に優れています。

「インサイト」と比べても大きい「カムリ」

実際に「インサイト」と「カムリ」を比べてみると、スペックの差以上に「カムリ」が大きく見えます。

「インサイト」は「カムリ」より全高が低く、クーペのようなスタイルのため、実際はミドルサイズなのですが、「カムリ」に比べると扱い易いサイズに見えてしまいます。

さらに、「カムリ」はトヨタ車独特のキーンルックが、周囲を威圧する圧迫感があり、この漂う雰囲気も「カムリ」の大きさを助長しています。

室内に乗り込むと「インサト」は飾り気のないインテリアが、少しだけ上質な雰囲気を伝えますが、そのコンセプトは普段使いの延長線上にあり、肩ひじを張らずに使えるデザインです。

一方の「カムリ」は豪華に見せることに力を入れ、ミドルクラスのサルーンを感じさせるインテリの作りです。

「カムリ」のインパネは左右非対称の独特なデザインを採用し、微妙な凹凸が立体感を作り出し奥行きを感じさせます。また、ボリュームのあるソフトパッドや木目調パネル、メッキモールが華やかさを演出しています。

シートを合わせドライビングポジションをとると、「インサイト」はインパネ上部が助手席に向かい低くし、良好な視界は車幅感覚を掴み易くしていますが、「カムリ」のほぼフラットなインパネは、助手席側への視界がやや限定され、車幅感覚を掴み難くなっています。

この感覚はただでさえ全幅の広い「カムリ」を、さらに扱い難く感じさせ、実際のサイズ以上の車をドライブしているようで、狭い道でのすれ違いに神経を使います。

また、「カムリ」の運転席はドライバーを包み込むように、タイトな空間を演出しスポーティな感覚で、足元もFRのようにセンターが張り出し狭くなっています。

「インサイト」は運転席にもFF車の余裕があり、足元も自由度が高く広さを感じられるセダンです。ポジションセレクトレバーがなく、低くしたセンターコンソールがこの空間を作り出しています。

軽快な「インサイト」重厚な「カムリ」

Dボタンを押し走りだすと「インサイト」は、スムーズにスルスルと力強く加速し、非常に軽快で、ミドルサイズの大きさを忘れるアクセルレスポンスの良さです。

0回転から27.2kgf・mものトルクを発生するモーターは、その特性で1,390kgのボディを前に押出しスピードを増して行きます。

「カムリ」は車重が1,600kgと「インサイト」より210kgも重く、モーターのトルクも20.6kgf・mと少ないため、立ち上がり加速ではやや重さを感じます。

エンジンは「カムリ」が2.5Lの排気量で「インサイト」より大きく、最高出力や最大トルクは優れていますが、市街地のストップ&ゴーが続くような状況では、その有利性を発揮することができず、「インサイト」の軽快なフィーリングに敵いません。

しかし、高いスピード域ではモーターの性能が発揮し難いため、エンジン性能の高い「カムリ」は余裕のある走りで、安定したクルージングが可能です。

ハンドリングはタイヤの扁平率が低く、接地面の大きい「カムリ」が、鋭くクイックな反応を見せ、「インサイト」はややマイルドな反応を示します。

この感覚はシートに座り受ける印象と同じもので、スポーティに訴える「カムリ」と、スタンダードを追求した「インサイト」の違いが良く伝わります。

足回りは「インサイト」「カムリ」ともに、適度な柔らかさを感じさせるものですが、フワフワとした落ち着きの悪さはなく、カーブでも安心してアクセルを踏める安定感があります。

特に「インサイト」のサスペンションは、タイヤとのマッチングが良く、クラスを感じさせない軽快な動きで、スイスイとカーブを抜けますが、「カムリ」はタイヤとサスペンションの相性がシックリとせず、グリップ感は高いのですがばね下の重量が重くバタつく感覚です。

この感覚は乗り心地にも影響を与え、「インサイト」は路面の段差もそつなくこなし、フラットな乗り心地を広い領域で提供しますが、「カムリ」は路面状態が少しでも悪くなると、低扁平率タイヤのコツコツとした振動が伝わり、良い乗り心地を提供する領域が狭い印象です。

室内の静粛性は「インサイト」「カムリ」ともに、エンジンが始動すると鼓動は伝わりますが、不快にさせるほどではなく、クラスに相応しい静かさを実現させています。しかし、両モデルともロードノイズの遮断が弱く、下回りから騒音の侵入を許しています。

しかし、高速域では排気量の大きい「カムリ」は静粛性が高く、排気量の小さい「インサイト」はエンジンに負荷がかかり騒がしくなります。

「インサイト」「カムリ」の安全運転支援機能を比較

インサイトカムリ
システムミリ波レーダー+単眼カメラミリ波レーダー+単眼カメラ
名称Honda SENSIGToyota Safety Sense
衝突軽減ブレーキ自車速度5km/h以上で、速度差5km/h以上の前走車や歩行者、対向車(対向車は二輪車、自転車以外で100km/h以内)歩行者10km/h~80km/h(速度差30km/h以下)

車両0km/h以上(速度差40km/h以下)

前後静止物誤発進抑制機能停車時、10km/h以下ブレーキ機能付
後方移動物誤発進抑制機能ブレーキ機能付
歩行者事故軽減ステアリング10km/h~40km/h
路外逸脱抑制機能60km/h~100km/h
渋滞追随機能0km/h以上0km/h以上
車線維持支援システム65km/h50km/h以上
先行車発進お知らせ機能10m以内
標識認識機能60km/h以下
オートマチックハイビーム30km/h以上30km/h以上
ブラインドスポットモニター装備装備

「インサイト」のHonda SENSIGと、「カムリ」のToyota Safety Senseは同じミリ波レーダー+単眼カメラのシステムで安全運転を支援します。

機能的には双方のシステムに長短があり、誤発進抑制機能ではブレーキが自動で作動する「カムリ」が優れ、「インサイト」は歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能でリードしています。

Honda SENSIGとToyota Safety Senseはそれぞれ標準で装備されますが、「カムリ」の後方移動物誤発進抑制機能とブラインドスポットモニターは、オプション装備のため別途費用が必要です。

「インサイト」「カムリ」の装備を比較

インサイトEX・BLACK STYLEカムリGレザーパッケージ
ギアポジションセレクトスイッチ式レバー式
減速セレクター標準装備
ナビゲーション標準装備(8インチ)オプション(8インチ)
カラーヘッドアップディスプレイ標準装備
ETC標準装備オプション
スピーカー8個6個
シート表皮本革×ウルトラスエード本革
パワーシート運手席8ウェイ助手席4ウェイ運手席8ウェイ助手席4ウェイ
電動ランバーサポート標準装備
ブラインドスポットモニター標準装備オプション
ポップアップフードシステム標準装備
リアスポーラー標準装備
フロントウィンドガラス遮音/IRカット/UVカット高遮音/UVカット/グリーンガラス
フロントドアガラスIRカット/スーパーUVカットUVカット/グリーンガラス
メーカー希望小売価格3,628,800円4,228,200

「インサイト」と「カムリ」の装備を比べると、「インサイト」はナビやETCが標準装備され、メーカー希望小売価格は「カムリ」より安く設定されています。

実用的に使うなら「インサイト」豪華さを求めるなら「カムリ」

「インサイト」は「カムリ」よりセダンの色合いが薄く、クーペのような外観は躍動的で若々しさが伝わるスタイルです。

インテリアはもう少し華やかさがあっても良いと思いますが、飾り気のないスタンダードに仕上げられた室内は、使うことをを重視した機能的なセダンです。

リアシートの平坦な乗り心地はやや気になりますが、取り回しもし易く、豪華な雰囲気を求めず実用的なセダンなら、「カムリ」とほぼ同サイズで装備も充実し価格も安い「インサイト」はおすすめの車です。

「カムリ」はミドルサイズセダンとして歴史もあり、このクラスで高い人気をもつ実績もあり、車の造り込みは「インサイト」を上回る印象です。

室内はクラス相応の豪華さを感じる演出を行い、ユーザーの満足度を高めるデザインは、求められるものを良く研究しています。

走りはやや重々し過ぎると感じられますが、要求される動力性能は確保されており、不満に感じることはありません。

豪華さを感じるミドルクラスセダンなら「カムリ」をおすすめします。

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