なぜ、ホンダエンジンの進化は遅いのか!

ホンダエンジンのバイブレーションは真実か

2017年F1プレシーズンテストでの、マクラーレンホンダチームに、トラブルが続出しテスト走行が満足に行えなかったことで、大いなる波紋を巻き起こしています。

イギリスのモータースポーツメディアは、ホンダエンジンに全ての原因があるとして報道しているようですが、それが全て真実とも思えません。

その報道によると、テストでの電装系トラブルの原因は、ホンダエンジンの酷いバイブレーションによって、引き起こされたと言っています。

エンジンのバイブレーションにより、電気系統の接合しているハーネスが外れ、走行不能に陥ってしまったとされています。

また、バイブレーションにより、エンジン回転数を上げることが出来ず、パワーを出せない状態に陥っているとも言われています。

聞けばもっともらしいと思える内容ですが、ハーネスの接合不良は車体を組み上げる過程でも発生します。

完全に差し込まれず甘くなっていると、些細な振動でも外れてしまいます。

プレシーズンテスト中に、コーナーの縁石に車体の底を打った後に、電装系トラブルで走行不能に陥ったと、マクラーレン側も認めています。

ハーネスが外れる程酷い、バイブレーションを起こすエンジンを、ベンチテストで回し続けることが出来るのかと疑問が残ります。

つまり、電装系のトラブルはエンジン振動が引き起こしたもので、車体を組み上げる過程のミスや、車体の剛性不足によるものでは無いとすれば、マクラーレンには都合が良い話なのです。

マクラーレン側から、自分たちに都合の良い情報にすり替え、意図的にリークしたように感じられます。

しかし、そのメディアが報道することが事実だとすると、ホンダエンジンにはかなりの危惧があります。振動が酷くて、高回転まで回すことが出来ないなら、パワーを上げることは出来ません。

さらにその問題が、基本設計に及ぶようなものであれば、今シーズンには間に合わないでしょう。

第4期F1挑戦の3年目を迎え、満を持しているホンダが、そのような問題を抱えるエンジンを、GPシーズンに投入するとはどうしても思えません。

マクラーレンはテスト後に、メルセデスにエンジン供給の打診をしたと報道されていますが、それが事実なら、それより先に打診したと思われるBMWからは断られたのでしょう。

BMWからの供給となれば、ワークス扱いでエンジンは無償で供給されますが、メルセデスからの供給となれば、エンジンは購入するしかありません。

今のマクラーレンは、潤沢に資金があると言える状態ではありませんので、本音は無償で供給が望めるBMWが良かったのは言うまでもありません。

ホンダエンジンが、推察されるような酷い状態では無かったとしても、第4期のホンダエンジンは、思うような成果を出せていないと思えます。

2017年のF1シーズンが開幕していないので、今期ホンダエンジンの正確なパフォーマンスは分かりませんが、トラブルを抱え出だしで躓いたのは事実です。

なぜホンダエンジンは、開発が進まないのでしょうか、原因を考えてみたいと思います。

 F1で勝てたのはそれなりの裏付けがあるはずだ

かつての取材で長谷川F1総責任者は、「過去は勝てていたのに、なぜ現在はこのような成績なのか」の問いに、「昔は村のレースで速かったので世界に出て行ってみたらたまたま勝てたのではないか」と発言していました。

これを裏返せば当時のホンダの技術力は、F1の舞台に出て戦っても、リードする力を備えていたと言うことではないでしょうか。

F1はモータースポーツの最高峰と言われるレースです。

挑戦するチームも技術の粋を集めた戦いをしています。

F1の名門チーム「フェラーリ」では、自社の車の宣伝費を掛けない代わりに、F1に挑戦し続けています。

F1で勝つことが自社の技術の優秀性を証明し、それを宣伝活動とすることで販売に繋げているのです。

つまりレースでの勝ち負けに、自動車メーカーとしての業績を委ねていることになります。

そのような鎬を削るF1のレースで、勝利を収めたのは「たまたま勝てた」のでは無く、やはり当時のホンダ技術力やアイデアの勝利だと思います。

長谷川F1総責任者の真意は、どの辺りにあるのか分かりませんが、なんの裏付けもなく出て行って勝てるような世界では無いはずです。

ホンダの技術力低下の始まりは研究所の人員削減

ホンダのエンジン開発が進まないのは、やはりホンダの技術力の低下にあると言わざるを得ません。

その技術低下を招いたのは、ホンダ研究所の無理な人員削減が行われたことに、端を発していると思えます。

この人員削減に繋がるのが、トヨタとのハイブリッド車開発競争です。

当時トヨタが、ハイブリッド車を開発しているとの情報を、ホンダは掴んでいました。

ホンダはトヨタに遅れをとるまいと、ハイブリッド車を開発することになるのですが、ホンダはトヨタとは違い、低コストで簡易的なハイブリッド方式を採用しました。

ホンダはハイブリッド車を、より低価格でユーザーに販売しようと考え開発を進めました。

この両社のコンセプトから、世に送り出されたハイブリッド車が、トヨタは「プリウス」ホンダは「インサイト」になるのです。

「インサイト」の電動アシスト自転車と揶揄された、簡易ハイブリッド方式は、モーターのみで走行を可能とする「プリウス」に対抗できず、ハイブリッド車としての魅力に欠けていました。

このために「インサイト」はユーザーに評価されず、ハイブリッド車競争は未来感のある「プリウス」の圧勝でした。

このハイブリッド競争で敗れたことにより、当時のホンダ社長伊藤は激怒し「お前らの半分は要らない」と、研究所の人員を配置転換させ、各地の営業所などに車の販売員として出向させてしまいました。

この配置転換を嫌ってホンダを去る決意をした技術者もいました。

さらに伊藤は販売台数の大幅な上乗せを発表しており、その目標達成のために新車を次々に投入する計画でした。

研究所は人員が削減された上に、次々に投入予定の新車開発のスケジュールが組まれたことにより、技術者1人に掛かる負担が増大していました。

満足な開発期間と検証が行われないまま、新車の生産が始まりリコールが繰り返されたのがGK型「フィット」です。

この車は必ずリコールとなると研究所の技術者は考えていました。

「フィット」のDTCは複雑な機構を備えており、研究所では「送り出すには早すぎる、まだ検証が必要だ」と考えていましたが、それに費やす人員は不足しており、発表のスケジュールは厳しく管理されていました。

この多忙な先が見えない業務のために、またしても技術者が研究所を去って行きました。

さすがに、このような危機的状況に陥った伊藤は、追い出した研究所の技術者を呼び戻すことを決断します。

しかし、あまりにも早急な辞令は現場から反発を招き、社員の更なるモチベーションの低下を引き起こしていました。

現在F1エンジン開発は、新たな拠点「さくら」で行われており、ホンダの技術者は努力を重ねていると思いますが、一連の伊藤が行った方針が影響を与え、競争力を削いでしまったのは事実でしょう。

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