トヨタ「プリウス」ホンダ「シビック」比較してみた

4代目mcプリウスとシビック

2018年12月にマイナーチェンジを行った4代目「プリウス」と、2017年9月に7年ぶりに国内回帰をした「シビックハッチバック」を比較してみます。

「プリウス」は世界で初の量産されたハイブリッドカーで、初代は1997年12月に、社会が環境意識の高まりをみせるなか、燃費を大幅に向上させ登場します。

初代はノッチバックのセダンボディでしたが、空気抵抗を低減させたスタイルは、未来を予感させる雰囲気を備え、新しい時代を感じさせる車でした。

その後2代目から現行の4代目まで、ボディは3ナンバーサイズのハッチバックを採用し、トヨタのハイブリッドカーを広く世界へ浸透させていきます。

特に2代目「プリウス」は車のパッケージングと販売戦略が上手く合致し、石を投げると「プリウス」に当たると言われたほどの、販売台数を記録し、そのコンセプトを引き継いだ3代目も、順調な売れ行きを示していました。

しかし、4代目となった「プリウス」は更なる高みを目指すため、大幅なコンセプト変更を行い、先鋭的なスタイリングで登場します。

TNGAによるプラットフォームを採用した走りは、燃費が良いだけのハイブリッドカーから脱却し、走行性能を大幅に向上させていましたが、攻め過ぎたデザインは好みがハッキリと別れ、販売台数では先代に及ばない状況が続いていました。

これを打開するため「プリウス」はマイナーチェンジを行い、先進的なスタイルから購買層とする年齢層が、親しみ易いと思える車へとデザインを変えています。

「シビック」は初代が1972年に登場し、ホンダ車の中では最も歴史のあるモデルです。

ホンダがバイクメーカーとしてだけでなく、自動車のメーカーとして世界に広く認知されたのが、「シビック」の成功によるもので、4輪のホンダの礎を築いた車です。

初代はコンパクトなボディでしたが、モデルチェンジを重ねる度に徐々に大きくなり、7代目まで5ナンバーサイズを堅持していたボディは、8代目で3ナンバーサイズへと拡大します。

こりにより国内では「シビック」=コンパクトのイメージから、大幅に外れ販売は不振を極めていき、ついには2010年9月で8代目の販売が国内で終了します。

これにより一旦「シビック」の国内販売が中止されますが、ホンダは海外で高い評価を受ける10代目を、2017年9月に国内投入することを決定します。

国内へ回帰した10代目はCセグメントの、堂々としたボディに成長しており、もはや「シビック」=コンパクとのイメージは、微塵も感じさせないワールドツアラーとなっています。

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「プリウス」と「シビック」のスペックを比較

プリウス(2WD)シビックハッチバック(CVT)
全長(mm)4,5754,520
全幅(mm)1,7601,800
全高(mm)1,4701,435
ホイールベース(mm)2,7002,700
最小回転半径(m)4.75.5
車両重量(kg)1,3901,350
エンジン排気量(L)1.7971.496+ターボ
最高出力(PS/rpm)98/5,200182/6,000
最大トルク(kgf・m/rpm)14.5/3,60022.4/1,700-5,500
モーター最高出力(PS)72
最大トルク(kgf・m)16.6
システム最高出力(PS)122
燃料消費率JC08モード(km/L)37.218.0
サスペンションフロントマクファーソンストラット式マクファーソンストラット式
リアダブルウィッシュボーン式マルチリンク式
ブレーキフロントベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスク
リアソリッドディスクソリッドディスク
タイヤサイズ215/45R17235/40R18
室内長さ(mm)2,1101,910
幅(mm)1,4901,465
高さ(mm)1,1951,160

ボディの全長は「プリウス」が長く、幅は「シビック」が広くなっています。また、「プリウス」は全高が高くされています。

ホイールベースは「プリウス」「シビック」ともに同じ長さですが、最小回転半径は「プリウス」が小さく小回りが利きます。

車両重量はハイブリッドの「プリウス」が重く、ターボエンジンの「シビック」は軽い車重です。また、最高出力、最大トルクもターボを積む「シビック」が上回りますが、燃費性能は「プリウス」が勝ります。

室内の長さ、幅、高さは「シビック」より「プリウス」が優れた数値です。

マイルドになった「プリウス」個性を主張する「シビック」

「プリウス」は「シビック」よりフロントが短く、キャビンスペースを優先させていますが、「シビック」はロングノーズショートデッキの伝統的なスポーティスタイルです。

「プリウス」のフロントはスムーズなラインで構成し、ボンネットフードのキャラクターラインも控えめで大人しい印象です。「シビック」は多くの凹凸が独自の表情を作り、ボンネットフードのキャラクターラインも力強く個性が強い顔つきです。

「プリウス」はルーフのピークがフロントシート部分にあり、「シビック」はルーフの中心付近にあります。

また、「プリウス」はAピーラーの位置が「シビック」より前方に配置され、室内スペースを作り出しているのが良く分かります。

「プリウス」は斬新なデザインからマイルドな印象へと変更したため、個性の強い「シビック」と比べると、極めてフツーの車に見えるリアスタイルです。

「シビック」はセンター2本出しのエキゾーストパイプが、スポーティテイストを強く感じさせます。

「プリウス」「シビック」ともに、リアにボリューのあるハッチバックボディですが、「プリウス」はトランクがあるようなデザインが特徴で、「シビック」はルーフから流れるようなラインが特徴です。

エンジンカバーでボンネット内をスッキリみせる「プリウス」に対して、「シビック」はエンジンルームのパイプやケーブルが複雑に走るのを確認できます。

「シビック」は車の性質を考えるなら、エンジンを魅せるような工夫が欲しいところです。

「プリウス」のタイヤは215/45R17サイズのブルアースGTを装着し、「シビック」は235/40R18イーグルF1アシメトリック2を履いています。

「プリウス」は上位タイプですがヨコハマの燃費指向タイヤで、「シビック」はグッドイヤーのフラッグシップモデルとなるスポーツタイヤです。

初代からのセンターメーターを踏襲する「プリウス」大径メーターで走りを予感させる「シビック」

「プリウス」のインパネは高く、圧迫感が強くなっていますが、「シビック」は助手席側を室内に向け下げることで、視界を広げ圧迫感を和らげています。

「プリウス」は初代からのセンターメーター方式を踏襲し、ハイブリッドカーであることを意識させる未来的なデザイです。

「シビック」は大径のタコメーターに、デジタル表示のスピードメーターを組み合わせ、左側に水温計、右側に燃料計を配置するスポーティテイストに溢れたデザインです。

「プリウス」はセンターコンソールトレイを、低い位置に設置しインパネシフトとすることで、膝周りの広さとトレイの使い易さを追求しています。

「シビック」は運転席と助手席を明確に分けるように、センターコンソールを高くし、自然に手を下ろした位置に、シフトレバーがくるデザインです。

「プリウス」はセンタートレイの使い易さを優先させ、「シビック」は膝を支えるコンソール形状とすることで、カーブでの体の安定を図っています。

「プリウス」はインパネの両端を室内側に向けて湾曲させ、乗員を包み込むようなデザインとしていますが、「シビック」は両端の張り出しを抑え、室内空間を広く作り出す形状です。

シート表皮は「プリウス」が本革、「シビック」はソフトウィーブです。「プリウス」の運転席、助手席シートには、冷風を伝えるベンチレーション機能が追加されています。

「シビック」はリアシート用の空調を備えており、「プリウス」より優れている部分です。

室内スペックでは長さ、幅、高さともに、「プリウス」が「シビック」を上回っていますが、実際には明確に違いが感じられ程の差はありません。

ラゲッジスペースの容量は「プリウス」が502L「シビック」420Lと、ハイブリッドながら「プリウス」が「シビック」を上回ります。

「シビック」は「プリウス」よりラゲッジが深いのですが、タイヤハウスの張り出しが大きく容量を少なくしています。

トノカバーは「プリウス」が「シビック」より、厚みのあるしっかりとした材質を使用しています。

「プリウス」のリアシートを倒したラゲッジフロアは、段差がありフラットではありませんが、「シビック」はフラットなフロアで使い勝手に優れています。

フツーになった「プリウス」スタイルを追求した「シビック」

実際に目にする「プリウス」と「シビック」のスタイルは、スペック以上に差があり、車高が低く、さらにボンネットも低い「シビック」は、数値(40mmの差)以上に「プリウス」よりワイドで幅の広い車に見えます。

「シビック」は低いボンネットから、さらにフロントに向かい先端を下げており、地面に張り付いて走るようなスタイルは安定感が強調されます。

「プリウス」も1,760mmの車幅があり、国内で使う車としては十分にワイドなのですが、フェンダー(フロントバンパー)からヘッドランプ、ボンネットと、上に向かい絞り込まれるデザインは、ボンネットの狭さが強調され、幅が狭く安定感のない車に見えます。

また、「プリウス」はハッチバックですが、リアにトランクがあるようなデザインは、ルーフのラインと交差し、中途半端な印象を与えています。角度によってはキャビンが浮いたように見え、未来的で新しさを感じるのですが、トータルなデザインとなったときに、バランスが悪い車に見えてしまいます。

リメイクすることで「プリウス」は、「PHV」のようなカッコ良い姿まで昇華させられるのですが、差別化を図りコストを抑えるため、そこまでの変更は許されなかったようです。

囲まれ感が強い「プリウス」視界が良い「シビック」

運転席に乗り込むと「シビック」より高いルーフの「プリウス」は、ヘッドスペースに余裕がある室内ですが、インパネが囲い込むように高いため潜り込んだ印象が強く、開放感には欠ける印象です。

「シビック」は低い車体に低いドライビングポジションで、ルーフも「プリウス」より近くタイトに感じますが、インパネの形状を低くすることで視野を広げ、スポーティですが圧迫感のない室内です。

リアシートでは「プリウス」と「シビック」に、明確な広さの差はありませんが、「シビック」の座面はドアとの間の隙間が広く、センター寄りに座る体勢となるため、3人で乗ると狭く感じられます。

インテリアは「プリウス」「シビック」ともに、豪華な雰囲気を演出する加飾は行わず、スタンダードでシンプルに仕上げられています。

マイルドな「プリウス」シャープな「シビック」

走行中の「プリウス」はスムーズなパワー特性で大人しい印象を受けます。もちろん、パワーモードにすると、アクセルの踏み込みに対する反応は早くなり、機敏な印象となりますが、極端な変化ではありません。

「シビック」はエンジンの始動と同時に低音の排気音が響き、スポーティーテイストを漂わせる室内です。これを後押しするようにメーターは、大径のタコメーターを中心にレイアウトされ気分を盛り上げます。

パワーアップされた1.5L VTEC ターボエンジンは、「プリウス」のパワー特性から比べると、トルクフルでパワーが感じられ力強い走りです。低回転から立ち上がるダウンサイジングターボは、高回転での爆発的なパワーこそありませんが、全回転域で扱い易く素直な特性です。

また、「プリウス」はハンドリングも角がなくマイルドな反応で、馴染み易く扱い易い特性です。「シビック」もクイックな反応ではなく、クラスに相応しい落ち着きのあるステアリング特性ですが、アジャイルハンドリングアシストを備えるため、とシャープに応答し操作する楽しさがあります。

乗り心地では扁平率が高く、サスペンションも「シビック」と比べると柔らかい「プリウス」が、小さな路面の凹凸も良く吸収しショックを和らげている感触です。「シビック」は低扁平率のスポーツタイヤを履いているにしては、コツコツ感も少なく良くマッチングしていますが、高い性能をもつ足回りは硬めで伝わる振動にはダイレクト感があります。

「プリウス」「シビック」の装備と価格を比較

プリウスAプレミアム“ツーリングセレクション”(2WD)シビックハッチバック(CVT)
アジャイルハンドリングアシスト標準装備
ポップアップフードシステム標準装備
パーキングブレーキ足踏み式電子制御
スマートキーシステム標準装備標準装備(エンジンスタートボタン付き)
DCM(車載通信機)標準装備
スピーカー数6個8個
リアベンチレーション標準装備
運転席・助手席シートヒーター標準装備(冷風ベンチレーション機能付き)標準装備
セレクトレバーウレタン本革
ペダルカバーゴムステンレス
パドルシフト標準装備
シート表皮本革ソフトウィーブ
運転席・助手席シート調整電動手動
運転席ランバーサポート標準装備
シートバックポケット運転席・助手席助手席のみ
エアコン花粉除去/脱臭/ナノイー機能アレルフリー高脱臭機能
ETC標準装備
カラーヘッドアップディスプレイ標準装備
アクセサリーソケット12Vフロント×1フロント×1 ラゲッジルーム×1
アクセサリーコンセントAC100Vコンソール×1  ラゲッジルーム×1
オーバーヘッドコンソール標準装備
フロント足元照明標準装備
フロントドアカーテシランプ標準装備
フロントドアスーパーUVカット/遮音・撥水機能グリーンガラスIRカット/スパーUVカットガラス
フロントウィンドIRカット/UVカット/高遮音機能グリーンガラスIRカット/UVカット/遮音機能ガラス
タイダウンフック標準装備
メーカー希望小売価格3,284,2802,800,440

「プリウス」Aプレミアム“ツーリングセレクション”には、ベンチレーション機能付きの、本革パワーシート、カラーヘッドアップディスプレイ、オーバーヘッドコンソール、室内照明、DCM、AC100Vコンセントが装備されます。

「シビック」はアジャイルハンドリングアシスト、電子制御パーキングブレーキ、パドルシフト、本革セレクトレバー、ステンレスペダル、リアシートの空調、スピーカー数、ETC、タイダウンフックが備わります。

「プリウス」は快適で便利な装備を充実させ、遮音機能のあるガラスを多く使い、室内の静粛性を高めています。「シビック」は走行性能に関わる装備を優先させ走りの質を高めています。

メーカー希望小売価格は「シビック ハッチバック」より、「プリウス」Aプレミアム“ツーリングセレクション”が483,840円高い金額です。

「プリウス」を価格ベースで「シビック ハッチバック」と比べるとすると、2,842,560円の“A”グレードが妥当となります。

A”グレードはタイヤが195/65R15、シートは上級ファブリックでシートヒーターと、ベンチレーション機能がなくなり、LEDアクセサリーランプも省かれます。また、ハイブリッドの利点を活かすAC100Vコンセントもオプションです。

A”グレードでも装備に不足はないと思われますが、タイヤが「シビック」に比べるとかなり細くなることと、シートヒーターが省かれるところは不利な部分です。

安全運転支援機能を比較

プリウスシビック
名称Toyota Safety SenseHonda SENSING
システムミリ波レーダー+単眼カメラミリ波レーダー+単眼カメラ
衝突回避支援機能歩行者10~80km /h5km/h以上速度差5km/h以上(100km/h以内)
××
車両10km/h以上5km/h以上速度差5km/h以上(対向車両には100km/h以内)
路外逸脱抑制機能幅3m以上の車線で50km/h以上60~100km/h
渋滞追随機能付クルーズコントロール0km/h以上0km/h以上
車線維持支援機能65km/h以上
オートマチックハイビーム30km/h以上30km/h以上
標識認識機能標準装備
リアクロストラフィックアラートグレードによりオプション装備
ドライブスタートコントロール標準装備
ブラインドスポットモニターグレードにより標準装備
インテリジェントクリアランスソナーグレードにより標準装備
シンプルインテリジェントパーキングアシストグレードにより標準装備

衝突回避機性能は「シビック」のHonda SENSINGが、やや上回っていると思えますが、オプション装備も含めると、安全運転支援機能の多さは「プリウス」が優れています。

ファミリカーなら「プリウス」走りも楽しむなら「シビック」

「プリウス」と「シビック」はCセグメントの車として、大きさが非常に近く室内もほぼ同程度の広さですが、「プリウス」はハイブリッドシステムで燃費の向上を目標にし、「シビック」はダウンサイジングターボで、走りの性能を追求することがテーマとなっています。

「プリウス」は現行4代目ではTNGAにより、走行性能が飛躍的に向上していますが、「シビック」に比べるとフツーの車に感じられ、やはりより多くの人に受け入れられるファミリカーを目指し造られています。

それは「プリウス」の後に同じTNGAを採用し登場した、「C-HR」「カローラスポーツ」が、より走りの質が向上していることからも分かります。

「プリウス」は近年の車としてはワイドセレクションで、マイナーチェンジ後も多くのグレードを継続させていることから、トヨタが販売に力を入れていることがうかがえます。価格もハイブリッドカーですが、「シビック」より安い設定のグレードも存在します。

トヨタファン、「プリウス」ファン、燃費性能に拘るなら、選択は「プリウス」になると思われますが、ドライブが楽しくなる車が欲しいと感じるなら、「シビック」はおすすめしたい車です。

プラットフォームは“タイプR”を開発することを前提として造られ、強靭でしっかりとしたフィーリングは、「プリウス」を上回る安心感があります。

「シビック」の外観は子供っぽいとの声もありますが、「プリウス」はマイナーチェンジで、保守的になり過ぎた感があり、もう少し躍動感が欲しいと思う人にも興味をそそる車です。

安全運転支援では「プリウス」が多くの機能を揃え、「シビック」より優れている部分ですが、その多くはオプション装備とされています。また、グレードにより支援機能の一部は、装備できないのが残念なところです。

「プリウス」はCセグメントの車として、走りもそこそこスポーティーで小回りも利き、ハイブリッドシステムを積み燃費も優秀なことから、ファミリカーとして選んでも、スタイルが気に入れば後悔は少ない車です。

しかし、もう少しパワーがあって、楽しいドライビングがしたいと望むなら「シビック」が良い選択です。

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