ホンダ「シャトル」トヨタカローラ「フィールダー」比較してみた

貴重な存在となりつつある、5ナンバーサイズステーションワゴンのホンダ「シャトル」と、トヨタカローラ「フィールダー」を比較してみます。

「シャトル」は遡ると1983年に発売された、5ドアの「シビックシャトル」から始まり、その後は2011年に、「フィット」をベースとしたステーションワゴン「フィットシャトル」となり現在の「シャトル」にたどり着きます。

現行の「シャトル」は2019年5月にマイナーチェンジを行ったモデルで、前後バンパーの形状を変え、よりシャープでワイドなスタイルを強調するデザインとなっています。

基本のベースは3代目「フィット」のものを、流用し開発が行われていますが、コンパクトクラスを超える質感を目指したため、ネーミングからは「フィット」を無くし、単に「シャトル」とだけ名付けられています。

カローラ「フィールダー」はカローラシリーズのワゴンモデルですが、その名称は2000年に登場した9代目の「カローラ」より使われ、それ以前は「カローラ ツーリンゴワゴン」「カローラ ワゴン」と呼ばれていました。

現行の「フィールダー」は2012年に登場した3代目、歴代「カローラ」では11代目となるモデルですが、翌年の2013年には待望のハイブリッドシステム搭載車を追加し、商品力を高めるとともに、2017年10月には2度目のマイナーチェンジを実施しています。

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「シャトル」「フィールダー」のスペックを比較

ライバルとなる「シャトル」と「フィールダー」の、スペックを確認し違いを確かめてみます。

ボデイサイズは「シャトル」が「フィールダー」より大きい

シャトル HYBRID Z (FF)フィールダー HYBRID G W×B(2WD)
全長(mm)4,4404,410
全幅(mm)1,6951,695
全高(mm)1,5451,510
ホイールベース(mm)2.5302,600
最小回転半径(m)5.25.5
タイヤサイズ185/55R16185/55R16

「シャトル」と「フィールダー」は5ナンバーサイズに収めるため、全幅が同じとなっていますが、全長と全高では「シャトル」が大きくなっています。

ホイールベースは「フィールダー」が長く、そのためタイヤサイズが同じでも、最小回転半径は「シャトル」が小さく小回りが効きます。

室内と荷室の広さは「シャトル」が「フィールダー」をリード

シャトル HYBRID Z (FF)フィールダー HYBRID G W×B(2WD)
室内長さ(mm)1,9251,945
幅(mm)1,4501,430
高さ(mm)1,2901,200
荷室(VDA方式)5名乗車時(L)570407
2名乗車時(L)1,141872

室内の幅と高さでは「シャトル」が上回り、長さは「フィールダー」が勝っています。

荷室の広さは「シャトル」が「フィールダー」を圧倒しています。

エンジンパワーは「シャトル」モーターパワーでは「フィールダー」

シャトル HYBRID Z (FF)フィールダー HYBRID G W×B(2WD)
エンジン排気量(L)1.4961.496
最高出力(PS/rpm)110/6,00074/4,800
最大トルク(kgf・m/rpm)13.7/5,00011.3/

3,600~4,400

モーター最高出力(PS/rpm)29.5/1,313-2,00061/No data
最大トルク(kgf・m/rpm)16.3/0-1,31317.2/No data
システム最高出力(PS)137100
システム最大トルク(kgf・m)17.3No data
燃料消費率JC08モード(km/L)29.834.4

エンジンの排気量は同じですが最高出力、最大トルクともに「シャトル」が「フィールダー」を上回ります。

「フィールダー」は最高出力、最大トルクを「シャトル」より、低いエンジン回転域で発生させており、実用性を高めた燃費重視のエンジン設計となっています。

また、モーターの性能では「フィールダー」が「シャトル」を上回っており、「フィールダー」はエンジン出力を補うためのモーターへの依存が高く、「シャトル」はエンジンを主に活用し、モーターは補助的な役割を担っています。

なお、トータルでの最高出力は「シャトル」が、「フィールダー」を上回るパワーを発揮します。

躍動的でボリュームのある「シャトル」保守的で落ち着いた「フィールダー」

「シャトル」はシャープで凹凸の少ない、スムーズなフロントに仕上げ、「フィールダー」はバンパーが強調されるフロントで、中央がノーズのように前に出ているのが特徴的です。

「シャトル」はソリッド・ウイング・フェースと呼ぶ、ホンダ車のフロントアイデンティティでデザインされ、「フィールダー」はアンダーグリルを強調する(アンダー・プライオリティ)、トヨタ車のフロントデザインキーンルックで仕上げられます。

リアに向かい高くなるベルトラインを採用する「シャトル」は躍動感があり、水平に直線的なラインの「フィールダー」は保守的で落ち着いた印象を与えます。

「シャトル」はバンパーレスのように一体化したリアが、近代的なデザインに感じさせ、バンパーをしっかりと認識させる「フィールダー」は、ややレトロな印象です。

ハイブリッドシステムがコンパクトな「シャトル」のi-DCDは、エンジンルームがガソリンエンジンと変わらない見た目ですが、「フィールダー」のTHS-Ⅱはハイブリッドシステムが、エンジンルームに隙間なく収まっています。

「シャトル」はスポーツ指向のブリヂストントランザを履き、「フィールダー」は燃費指向のミシュランエナジーセイバーを装着します。

インパネは「シャトル」がセンターまでをドライバー側に、含まれるようなコックピット感を演出するデザインを採用し、「フィールダー」はオーソドックスにメーター、センターパネル、グローブボックスを配置する形状です。

「シャトル」のメーターパネルは大径スピードメーターに、マルチインフォメーションデスプレイを組み合わせた、グライフィカルでカラフルなデジタル的な表示です。

「フィールダー」も大径のスピードメーターですが、左にはアナログのタコメーターが備わり、マルチインフォメーションデスプレイは、スピードメーターに入り込むように表示されます。

センタコンソールのハイデッキや、インパネのソフトパッド、ステンレス製スポーツペダルを「シャトル」は備え、「フィールダー」は助手席前と、メーター周りにソフトパッドを使用します。

シートは「シャトル」がプライムスース×ファブリックのコンビシートで、「フィールダー」はファブリック×合皮のスポーツシートです。ステッチは両モデルともにダブルステッチで質感を高めています。

リアシートはホイールベースが短く、室内長も短い「シャトル」に広さが感じられ、センターアームレストにもカップホルダーが備わります。

また、「シャトル」のヘッドレストは格納式ですが、「フィールダー」はレギュラータイプのため、後方への視界が制限されてしまいます。

荷室はスペックが示すように「シャトル」が、「フィールダー」より広いスペースを確保しており、リアシートの背もたれには小物入れも装備します。

「フィールダー」の荷室は長さと深さで「シャトル」に負けています。

「シャトル」はリアシートを倒すとフラットなフロアが出現しますが、「フィールダー」はリアシートの部分が盛り上がってしまい、広さでも「シャトル」に負けています。

ただ、「フィールダー」にはリアシートを倒すレバーが、テールゲートの開口部近くに装備されるため、リアドアに回り込む必要がなく、この機能の使い勝手では「シャトル」を上回っています。

コンパクトカーを感じさせない「シャトル」スタンダードな「フィールダー」

「シャトル」と「フィールダー」を実際に目にすると、「シャトル」は「フィールダー」より一回り大きく、特にリアの長さとボリュームに違いがみられます。

脱コンパクトカーを目指す「シャトル」は、ベースが「フィット」でありながらも、一クラス上の大きさを感じさせ、ステーションワゴンらしいスタイルです。

「シャトル」のボディサイドはベースとなる、「フィット」の面影が色濃く残りますが、フロントはシャープな印象に仕上げ、リアスタイルもワイドさを強調するデザインです。

「フィールダー」はトヨタ車のフロントであるキーンルックに特徴があり、迫力を感じさせる顔つきです。しかし、それ以降のボディデザインは保守的なラインで、スタンダードで大人しい印象です。

また、「フィールダー」のリアの長さは「シャトル」と比べると短く、ステーションワゴンと5ドアハッチバックの間に位置するようなスタイルをしています。

「フィールダー」の外観から受ける印象は、保守的なスタンダードなクルマに、個性の強いフロントを取り付けたようで、ややアンバランスな仕上がりに思えます。

室内に乗り込むと「シャトル」は、ハイデッキタイプのセンターコンソールが、運転席と助手席を明確に分け、パーソナルな空間はコンパクトカーらしからぬ作りです。

さらに、ソフトパッドを多用するインパネも、センターまでを運転席側と一体化させたようなデザインは、コックピット感を演出しています。

このコンパクトカーを超える質感をもつ、「シャトル」のインテリアに対して「フィールダー」は、助手席の前やメーター周りにソフトパッドを使い、インパネの質感を高めていますが、仕上がりはコンパクトカーの域に留まりスタンダードな印象です。

また、馴染み易く視認性も良いアナログのスピードメーターも、ベーシックな印象を強くしていて、室内の演出を考えるとやや物足りなさが残るデザインです。

シートに座りポジションをとると「シャトル」は、「フィールダー」よりポジションが高く、「フィールダー」は腰が沈み込む、低いドライビングポジションです。

このため室内の広さもスペック以上の差が感じられ、開放感のある「シャトル」に対して「フィールダー」は、やや潜り込んだ狭い空間に感じられます。

走り出すとアクセルの踏み込みに対して反応が早い「シャトル」は、パワフルで活発な動きをみせ、走りを楽しめるステーションワゴンです。

コンパクトカーのキビキビ感とは違いますが、しっとりとした落ち着きのある足回りは、安定感が高く一クラス上のクルマを感じさせます。

これに対して「フィールダー」は、アクセルの踏み込みに対しても反応が穏やかで、大人しい走りは誰が乗っても扱い易い特性です。

モーターを効率よく使うことを目指した、「フィールダー」のハイブリッドシステムは、燃費を良くすることを重視しているため、低、中速域での実用性に優れています。

しかし、パワーが盛り上がるような感覚がなく、ドライブしても高揚感の少ない走りは、クルマを操る楽しさには欠ける印象です。

装備の多さと内容では「シャトル」が「フィールダー」を上回る

シャトル HYBRID Z (FF)フィールダー HYBRID  G W×B(2WD)
ペダルステンレス製スポーツノーマル
リアセンターアームレストカップホルダー付アームレスト機能のみ
トノカバー標準装備オプション
リアシートバッグ標準装備
ワンタッチ格納リアシート標準装備
ドアミラー(親水)標準装備
フロントウィンドガラス遮音/IRカット/UVカット/熱線入り高遮音/UVカット/熱吸
フロントドアガラスIRカット/スーパーUVカット/撥水UVカット/撥水
フロントコーナーガラス高熱線吸収/UVカット
リアドア/リアクォーター/テールゲートガラス高熱線吸収/UVカット/プライバシーUVカット/プライバシー
パドルシフト標準装備
スタビライザーフロント/リアフロントのみ

装備の内容は「シャトル」が「フィールダー」より充実しており、ガラスについても「シャトル」は高機能のものを使い、パドルシフトや前後のスタビライザーなど、走行性能を高める装備も備わります。

「フィールダー」はワンタッチ格納式リアシートが、「シャトル」にはない機能で、使い勝手を向上させる優れた装備です。

予防安全性能でも「シャトル」が「フィールダー」をリード

シャトル Honda SENSINGフィールダー Toyota Safety Sense
システム単眼カメラ+ミリ波レーダー単眼カメラ+レーザーレーダー
衝突軽減ブレーキ(対車両)自車速度5km/h以上 速度差5km/h以上自車速度30~80km/h 速度差30km/h以内
衝突軽減ブレーキ(対歩行者)自車速度5km/h 速度差5km/h以上 80km/h以下
車線維持機能65km/h
車線逸脱抑制60~100km/h(警告表示+ステアリング振動+ステアリングアシスト)50km/h以上(警報+警告表示)
歩行者事故低減ステアリング10~40km/h
アダブティブ・クルーズ30km/h以上
ヘッドライトコントロールオートマチックハイビーム 30km/h以上オートマチックハイビーム 30km/h以上
標識認識機能標準装備
誤発進抑制10km/h以下(前進のみ)
パーキングサポートブレーキ15km/h以下(静止物 前進のみ《オプション装備》)

予防安全性能の機能では「シャトル」が「フィールダー」を大きくリードしています。

「シャトル」に搭載されるHonda SENSINGは、単眼カメラ+ミリ波レーダーの、現在主流となりつつあるシステムで、多くの機能と広い速度域に対応することを可能としています。

「フィールダー」のToyota Safety Senseは、単眼カメラにレーザーレーダーを組み合わせた一時代前のシステムです。

そのため衝突軽減ブレーキが歩行者に対応していないなど、ドライバーをアシストする機能が少なく、内容も低いレベルに留まっています。

唯一「フィールダー」のToyota Safety Senseが優れているのは、オプションでパーキングブレーキが装備できることです。

トータルパフォーマンスでは「シャトル」「フィールダー」は燃費の良さが光る

シャトル HYBRID Z (FF)フィールダー HYBRID G W×B(2WD)
メーカー希望小売価格2,559,600円2,536,920円

今回比較した「シャトル HYBRID Z(FF)」と、「フィールダー HYBRID G W×B(2WD)」のメーカー希望小売価格は、22,680円「シャトル HYBRID Z(FF)」が高い金額です。

「シャトル」は「フィールダー」より力強い走りと大きな荷室を備え、予防安全性の機能や装備の内容でも「フィールダー」を上回っており、価格も同程度に設定されるなど、おすすめできる5ナンバーサイズステーションワゴンです。

「フィールダー」は手軽に使えるステーションワゴンを目指し、多くの荷物を積むより雰囲気を楽しむためのクルマとして仕上げられ、「カローラ」シリーズのハッチバックとしての意味合いが強くなっています。

また、優秀な燃費性能は「フィールダー」の大きな魅力となる部分です。

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