スズキ「スペーシア カスタム」ホンダ「N-BOX カスタム」比較してみた(2017)

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王者「N-BOX」を追いかける挑戦者「スペーシア」

高い人気を保ち続けるホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」と、ハイブリッドシステムを搭載するスズキの軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」が、ともに2017年にフルモデルチェンジされ2代目となるモデルが登場しました。

「N-BOX」は2011年に初代モデルが発売され、スペース効率に優れる軽スーパーハイトワゴンに、走りの魅力を加えることで多くの支持を集め大ヒットをとばしました。

新型「N-BOX」は先代のコンセプトを踏襲し、スタイリングは近似性を強く感じさせるものとなっていますが、ボディは軽量化と高剛性が図られ、エンジンはVTECを搭載しその中身は格段の進化を遂げています。

スズキ「スペーシア」は「パレット」の後継車種として2013年に登場しています。

初代「スペーシア」は「パレット」で不評だった室内の狭さを解消し、室内を広くすることで使い勝手を向上させ、軽量化を成し遂げたモデルでしたが、「N-BOX」と肩を並べるほどの成功は収められませんでした。

「N-BOX」を追いかけるように12月(「N-BOX」は9月)に2代目「スペーシア」は登場し、先代では遅れて登場したカスタムモデルも同時発売となりました。

新型「スペーシア 」はノーマルモデルとカスタムモデルでは、明確なキャラクター分けが行われ、ゆるキャラをイメージさせるノーマルモデルに対して、カスタムモデルは大きな直立したフロントグリルが、迫力のある顔つきを作り出しています。

進化を遂げて第二世代へと突入した「N-BOX」「スペーシア」の、カスタムモデルを比較してみます。

比較したグレードは「N-BOX カスタム」“G・L”ターボ “Honda SENSING” と「スペーシア カスタム」 “HYBRID XS” ターボです。

「N-BOX」と「スペーシア」のカタログスペックを比較

2WDN-BOX カスタムスペーシア カスタム
全長(mm)3,3953,395
全幅(mm)1,4751,475
全高(mm)1,7901,785
ホイールベース(mm)2,5202,460
最小回転半径(m)4.74.6
車両重量(kg)930900
室内寸法長さ(mm)2,2402,155
幅(mm)1,3501,345
高さ(mm)1,4001,410
エンジン最高出力(PS/rpm)64/6,00064/6,000
最大トルク(kgf・m/rpm)10.6/2,60010.0/3,000
モーター最高出力(PS/rpm) ∗3.1/1,000
最大トルク(kgf・m/rpm) ∗5.1/100
JC08モード燃費(km/L)25.025.6

カタログスペックの比較では「N-BOX」は「スペーシア」より5mm高く、ホイールベースは60mm長くなっています。

最小回転半径は「スペーシア」が「N-BOX」より10cm小さく、車両重量も30kg軽く造られています。

室内の長さは85mm幅は5mm「N-BOX」が大きく、高さは「スペーシア」が10mm高くなっています。

エンジンの最高出力と発生回転数は同じですが、最大トルクは「N-BOX」が大きく尚且つ低い回転域で発生させています。

燃費性能はマイルドハイブリッドを搭載する「スペーシア」が「N-BOX」を上回っています。

洗練された「N-BOX」ローカルな「スペーシア」

「スペーシア」はフロントにメッキガーニッシュを使い、「N-BOX」以上に押出しの効く顔つきとなっています。「スペーシア」の大きなフロントグリルは、トヨタのミニバンを思わせるデザインです。

ボディの側面は「N-BOX」「スペーシア」ともに、垂直に近い角度で立ち上がっていますが、「N-BOX」は平面な面構成のためその印象がより強く、「スペーシア」は凹みを入れることで、厚みを感じさせるサイドビューです。

「N-BOX」は軽自動車初の流れるウィンカー、シーケンシャルウィンカーを採用しています。

「スペーシア」はヘッドランプカバーが、サイドまで回り込むデザインとなっていて、ボンネットフードも短くなっています。

サイドストーンガードのエアロパーツは、直線的で大人しいデザインの「N-BOX」に対して、「スペーシア」は存在感のあるスポーティなものを取り付けています。

「N-BOX」は有機的で独特の形をしたリアコンビネーションランプですが、「スペーシア」はオーソドックスな従来からのデザインです。

「N-BOX」のテールゲートスポイラーは、ホディと一体感のある形状をしていますが、「スペーシア」は後から取り付けた感があります。

また「スペーシア」はハイマウントストップランプが、赤いレンズカバーとなっているところも、リアデザインの統合性を欠いています。

ボディカラーの影響もありますが、「スペーシア」はボディ後半が商用車的に感じさせ、「N-BOX」はそれを感じさせないデザインです。

カタログスペックでは「N-BOX」が「スペーシア」よりも高いのですが、実際に接すると「スペーシア」が高いように感じられます。

「N-BOX」「スペーシア」のエンジン最高出力は同じですが、最大トルクでは「N-BOX」がやや上回っており、燃費性能では「スペーシア」が勝っています。

エンジン音を遮音するインシュレーターを、「N-BOX」は装着していませんが「スペーシア」は取付ています。

「N-BOX」「スペーシア」ともにタイヤは165/55R15サイズで、ブリヂストンエコピアが装着されています。

ホイールは「N-BOX」が凝ったデザインと思える形をしています。

「N-BOX」はメーターナセルをやや高くして、目線の先に自然にメーターがある乗用車的な、ドライビングポジションを作り出して、メーターへの視認性を高めています。ややメーターナセル上端の高さが気にのるのですが、軽スーパーハイトワゴンを感じさせない包み込まれるような感覚です。

「スペーシア」は従来の軽スーパーハイトワゴンの、ミニバン的なドライビングポジションで、見下ろすように視界は開けていますが、メーター確認への視線移動は大きめです。

しかし軽自動車初となるヘッドアップディスプレイが装備された試乗車は、視線移動の負担は大幅に軽減されています。

水平基調のインパネを採用する「N-BOX」「スペーシア」は、スッキリとした広さを感じさせます。

助手席前のインパネ収納量は「スペーシア」が上回っていますが、トレイとしての機能は「N-BOX」が優れています。

「スペーシア」は助手席下にアンダートレイが装備し、収納できる箇所を増やしています。

シートの質感は「N-BOX」が「スペーシア」を上回る

スリムサーキュレーター(画像はスペーシア)

「N-BOX」はプライムスムース&トリコットのコンビシート、「スペーシア」はレザー風&ファブリックの組み合わせです。

「スペーシア」はステアリングとシートに赤いステッチを入れ、スポーティな雰囲気を高めていますが、シートの質感では「N-BOX」が上回っています。

スリムサーキュレーターをルーフに装備する「スペーシア」は、広い室内空間の温度コントロールが容易になり、前後席の温度差を素早く解消できます。

乗降性は「スペーシア」積載性は「N-BOX」

計測はスペーシアを使用

路面からステップまでは「スペーシア」が低く、スライドドア開口部の高さも僅かですが「スペーシア」が勝っています。「N-BOX」はスライドドア開口部の幅に余裕があります。

乗降性は「スペーシア」がやや有利な設計となっています。

テールゲートの路面からラゲッジフロアまでは「N-BOX」が低く、開口部の幅、高さも「N-BOX」が大きく使い勝手が優れています。

「スペーシア」が有利なところは開口部がスクエアで、フロアまで広さが変わらない形状になっていることです。

リアシートのスライド幅は「N-BOX」19.5cm「スペーシア」21.5cmで、「スペーシア」が多いスライド幅を確保しており、「N-BOX」は最もリアシートを後ろに下げた状態でも、ラゲッジフロアの長さが41.5cmで、31cmの「スペーシア」よりも広いラゲッジスペースを確保できています。

これは室内の長さが短い「スペーシア」が、後方までシートスライドをさせて、リアシートの足元スペースを確保するための対策と考えられます。

「N-BOX」は「スペーシア」より、リアシートの足元スペースが広いため、ラゲッジスペースをフレキシブルに変えられる強みをもっています。

操縦性と安定感の「N-BOX」素早い加速の「スペーシア」

「N-BOX」「スペーシア」に乗り込み最初に違いを感じるのは、ドライビングポジションです。

「スペーシア」はミニバン的な高いシートポジションを要求されますが、「N-BOX」はシートを下げてもステアリングがそれに合わせて下がり、軽ハイトワゴンと変わらない乗車感覚でドライブすることができます。

ステアリングを含めたインンパネの仕上がりも、「N-BOX」は質感が高く乗り換えると「スペーシア」はベーシックで簡素に感じられ、極端に言うと乗用車と商用車ほどの印象の違いがあります。

これはシートデザインも同様で、重厚で質感高く仕上げられた「N-BOX」に対して、スタンダードに軽く仕上げられた「スペーシア」という印象です。

走り出すと「スペーシア」はゴロゴロとした低い排気音が響き、スポーティなテイストでその気を出させるのですが、カーブでの安定性が「N-BOX」ほど高くなく、直進していてもステアリングに曖昧な部分があります。

「N-BOX」は軽スーパーハイトワゴンを感じさせない足回りが異色の仕上がりで、背が高いにもかかわらず安定性が高く、カーブでステアリンをグ切り込んでも不安になりません。

不安定になる限界は当然あるのですが、そこまでが高く軽スーパーハイトワゴンのレベルを完全に超えています。

加えてアジャイルハンドリングアシストが、ホンダの軽自動車ではスポーツカー「S660」に続き採用されているので、回頭性が高くステアリングの操作にも素直に追従します。

また「N-BOX」は直進時の安定感も良く、背が高くて幅が狭い軽スーパーハイトワゴンをドライブしている感覚がありません。

室内の静粛性を比べても「N-BOX」は「スペーシア」を上回っており、上質さを失わないジェントルな走りです。

「N-BOX」と比較すると難点が目立つ「スペーシア」ですが、発進加速は「スペーシア」が「N-BOX」を上回っています。

最高出力は両車同じで最大トルクは「N-BOX」が優れているのですが、「スペーシア」は重量の軽さとモーターのアシストがあることで、「N-BOX」よりもスピードの乗りが早く軽快な加速です。

「N-BOX」も軽自動車初の電動ウェストゲイトを装備し、ターボブーストを細かくコントロールして立ち上がりを早くしていますが、発進加速加速ではやや負けている感じです。

主な装備の差と価格を比較

2WDN-BOX カスタムG・Lターボスペーシア カスタム HYBRID XSターボ
ヘッドランプ9灯式LEDプロジェクタータイプ
フルオートエアコンナノイー/PM2.5対応フィルター抗菌処理/エアフィルター
パワースライドドア予約ロック機能×標準装備
後退ブレーキサポート×標準装備
アレルクリーンシート標準装備×
スリムサーキュレーター×標準装備
シートプライムスムース&トリコットファブリック
リシートアームレスト左右独立式×
ターンランプシーケンシャルウィンカーノーマルウィンカー
マイルドハイブリッド×標準装備
リアシートチップアップ標準装備×
助手席アンダートレイ×標準装備
後席パーソナルテーブル×標準装備
シフトノブウレタン本革巻
メーカー希望小売価格1,895,400円1,787,400円

「スペーシア」はパワースライドドアドアの予約ロック、スリムサーキュレーターの利便性と快適性を高める新装備が追加され、安全面ではヘッドアップディスプレイ、後退時誤発進抑制機能に加えてブレーキサポートも行われることが、「N-BOX」よりも進歩している部分です。

「N-BOX」はシーケンシャルウィンカーが目新しい装備ですが、シート表皮に質感の高いプライムスムース&トリコットを採用するなど、上質感を高めることに力を注いでいます。

メーカー希望小売価格は「N-BOX」が108,000円高い設定となっています。

「N-BOX」の進化は「スペーシア」を凌駕している

2代目となった「スペーシア」は王者「N-BOX」を良く研究しています。

先代では弱点であったシートレールが飛び出すラゲッジフロアや、リアシートを倒した場合にフロントシートを圧迫する構造などを改良し、「N-BOX」と同等の仕様としています。

さらにパワースライドドアドアの予約ロック、スリムサーキュレーターで、便利で快適な機能を追加し、使い勝手と快適性を向上させています。

しかし残念なのは基本性能の底上げが、「N-BOX」と肩を並べるまでに至っていないことです。

「N-BOX」は先代の利点であった広い室内のメリットを活かしつつ、さらに走行性能を高めることで、重心が高く不安定に感じる軽スーパーハイトワゴンの弱点を克服しています。

「スペーシア」は室内の仕上げも、これまでの延長線上にあり、いかにも軽スーパーハイトワゴンと感じさせますが、「N-BOX」は軽自動車とは思えないクラスを超えた質感を持っています。

「スペーシア」が「N-BOX」に勝っているのは、マイルドハイブリッドを搭載し、軽量ボディを活かした発進加速の速さと燃費性能の良さです。

これまではマイルドハイブリッドシステムが、走りに貢献しているようには思えませんでしたが、両車を乗り比べてみると「スペーシア」のスピードの伸びが良いことがわかります。

加えて「スペーシア」は最小半径が小さいので、ロックするまでステアリングを回すと、最後の最後で「N-BOX」よりも車が小回りする感覚があります。

スズキは2代目「スペーシア」を登場させるにあたり、これで「N-BOX」に追いついたとの思いだったでしょうが、2代目となった「N-BOX」の進化は凄まじく、両車の差は若干縮まったかなと思える程度です。

車の安定性や質感の高いインテリアの仕上がりなど、「N-BOX」は「スペーシア」を凌駕しているのですが、価格差は108,000円とクラスを考えると小さくはありません。

一般的に考えると無理をしても「N-BOX」が良いと思えますが、軽スーパーハイトワゴンで立派に見えて、走り方は無理をしない人には、価格の安い(それでも1,787,400円しますが)「スペーシア」は、発進加速も良く使い勝手も向上し楽しめるので、選んでも後悔しない車です。

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