スズキ「スティングレー」ダイハツ「ムーヴカスタム」比較してみた(2018/6)

軽自動車の代名詞とも言えるスズキ「ワゴンR」と、ダイハツ「ムーヴ」のスポーティテイストを受け持つのが、「スティングレー」と「ムーヴカスタム」です。

両車はともにエアロパーツを装着し、ノーマル車とは違う迫力のある力強いスタイリングを特徴としています。

現行の4代目となるスズキ「スティングレー」は、2017年2月にフルモデルチェンジされ登場しています。これまで、横に伸びたワイドなヘッドランプが、特徴となっていましたが、4代目では縦型に配置することで、インパクトのあるフロントを作り出し、イメージを大きく変えています。

ダイハツ「ムーヴカスタム」の現行車は、6代目となるモデルで、2014年12月にフルモデルチェンジを行い登場しました。2017年8月にはマイナーチェンジが実施され、より洗練されたフロントデザインになっています。

ともに軽自動車のスペシャリティーカーとして、ライバル関係にある「スティングレー」と「ムーヴカスタム」の比較を行ってみます。比較するグレードは「スティングレー」がベースグレードの “ L ”、「ムーヴカスタム」は中間グレードの X “ Limited SAⅢ ”です。

本来なら比較するグレードを、合わせたかったところですが、試乗車の都合上違うグレードでの比較とまりました。

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「スティングレー」と「ムーヴカスタム」のスペックを比較

2WDスティングレー “ L ”ムーヴカスタム X  “ Limited SAⅢ ”
全長(mm)3,3953,395
全幅(mm)1,4751,475
全高(mm)1,6501,630
ホイールベース2,4602,455
車両重量(kg)770830
トレッド1,2951,305
1,3001,295
室内寸法(mm)長さ2,4502,080
1,3551,320
高さ1,2651,280
エンジン最高出力52PS/6,500rpm52PS/6,800rpm
最大トルク6.1kg・m/4,000rpm6.1kg・m/5,200rpm
燃料消費率(km/L)26.831.0

「スティングレー」と「ムーヴカスタム」の全長と全幅は、ともに軽自動車規格をフルに使い、同じ長さと幅になっています。全高は「スティングレー」がやや高く、ホイールベースも長くなっています。

車両重量は「スティングレー」が軽く、トレッドの前は「ムーヴカスタム」後は「スティングレー」が広くなっています。

室内の長さ幅は「スティングレー」が勝り、高さは「ムーヴカスタム」が勝っています。

エンジンの最高出力と最大トルクは、同じ数値ですが「スティングレー」が低い回転域で発生させています。

燃費性能は「ムーヴカスタム」が「スティングレー」を上回っています。

独自のスタイルを追求する「スティングレー」これまでの延長線上にある「ムーヴカスタム」

「スティングレー」は縦型のヘッドランプが、スタイルの大きな特徴となり、今までのイメージを大きく変えるデザインになっています。また、ボンネットフードの厚みも強調されています。

「ムーヴカスタム」はこれまでのスタイルを踏襲するデザインで、これをさらに熟成し発展させることで、完成度を高めています。

「スティングレー」のフロントは上下二段に別れたグリルと、縦型のヘッドランプがアメ車を連想させ、ノスタルジックな雰囲気も漂います。

「ムーヴカスタム」はマイナーチェンジによりフロントが変えられ、スマートで抑揚の少ないデザインに生まれ変わり、大きなメッキガーニッシュが備わる顔つきは、バンパーの処理も含めてトヨタ車に非常に近くなっています。

バンパーは「スティングレー」が、角張ったシンプルな形状としているのに対して、「ムーヴカスタム」はリップ部分が複雑で、より空力に配慮した形状にしています。

大型のワンボックスワゴンが採用するデザインを、軽自動車に持ち込んだ「スティングレー」は、これまでの軽自動車にはなかった、独特のラインで造られています。

「ムーヴカスタム」はオーソドックスなラインで構成され、これまでのイメージから外れないデザインです。

テールゲートのラインは、「スティングレー」が丸みを持たせた形状としているのに対して、「ムーヴカスタム」は垂直に近い角度の直線的なラインです。

リアは「スティングレー」が、リアコンビネーションランプを横型にし、「ムーヴカスタム」は縦に配置するデザインとしています。

ボディの形状を「スティングレー」はルーフに向かい絞り込み、「ムーヴカスタム」は垂直に近い角度でルーフに向かっているのが良く分かります。

バンパーの形状はフロントと同様に、「スティングレー」がシンプルなデザインなのに対して、「ムーヴカスタム」は複雑な形状をしています。

「スティングレー」のテールゲートやボディパネルは、ラインが少なくシンプルな面で構成され、「ムーヴカスタム」はラインを多く使い、タイヤフェンダーも張り出させた形です。

「スティングレー」のエンジンは最高出力52PS/6,500rpm、最大トルク6.1kg・m/3,000rpm、「ムーヴカスタム」のエンジン最高出力52PS/6,800rpm、最大トルク6.1kg・m/5,200rpmです。

最高出力と最大トルクは同じですが、「スティングレー」はより低い回転域で発生させており、扱い易いエンジンになっています。

なお、エンジン音を防止するインシュレーターを、「スティングレー」は取り付けていませんんが、「ムーヴカスタム」は取り付けています。

「スティングレー」と「ムーヴカスタム」のタイヤサイズは同じ155/65R14で、タイヤは「スティングレー」がダンロップエナセーブ、「ムーヴカスタム」はブリヂストンエナセーブが装着されています。

ホイールは「ムーヴカスタム」が凝ったデザインを採用しています。

スティングレー

ムーヴカスタム

「スティングレー」は水平基調のシンプルで機能的なインパネデザインを採用し、「ムーヴカスタム」は緩やかな曲線を使い、有機的なデザインとしています。

スティングレー

ムーヴカスタム

センターメーターを採用する「スティングレー」に対して、「ムーヴカスタム」はオーソドックスに運転席前にメーターを配置しています。センターメーターは表示が遠方になり、独特の感覚となりますが視認性は悪くありません。

スティングレー

ムーヴカスタム

足元は空調デザインをコンパクトにまとめた「スティングレー」が広く感じられます。

スティングレー

ムーヴカスタム

「スティングレー」のシートは柔らかく、包み込むように体をサポートをする感覚ですが、「ムーヴカスタム」のシートは張りがあり、形状で体をサポートするタイプです。

スティングレー

ムーヴカスタム

シートの感触はリアシートもフロントと同じ感触で、柔らかく沈み体を支える「スティングレー」に対して、張りがありコシの強さが伝わる「ムーヴカスタム」のシートです。

「ムーヴカスタム」のシートは張りが強いので、耐久性は高そうですが、公園のベンチのように沈み込まないので、サポート性は期待できません。

スティングレー

ムーヴカスタム

「スティングレー」と「ムーヴカスタム」のラゲッジスペースは、ほぼ同程度の容量になっていますが、フロアは「スティングレー」がフラットになる構造です。しかし、開口部の位置が「スティングレー」は高く、使い勝手では「ムーヴカスタム」が優れています。

大きく感じる「スティングレー」造り込まれた「ムーヴカスタム」

「スティングレー」と「ムーヴカスタム」を比べてみると、全高が高い「スティングレー」は「ムーヴカスタム」以上に大きく感じられ存在感があります。

これは、サイドのデザインを大型ワンボックスタイプとし、Bピラー部分をルーフまで延ばしたことと、ボディパネルに凹凸を付けないで、平面的な処理をしていることに因ります。

ボディパネルに凹凸を付けない処理は、単純で特徴が少ない印象を与えるのですが、反面規格一杯にボディを張り出させることが可能になります。これにより、「スティングレー」はサイズ以上の見た目を作り出しています。

これに対して「ムーヴカスタム」は、ラインを多用することにより、抑揚のある造り込みを感じるボディとしています。

実際に斜め後方より両者を比べてみると、単純な面構成で古ささえ感じてしまう「スティングレー」ですが、「ムーヴカスタム」はフェンダーアーチを張り出させるなど、力強さを演出するデザインです。

機能的な「スティングレー」質感の「ムーヴカスタム」

室内に乗り込むと「スティングレー」は、機能的で使うことを重視したデザインで、水平基調のインパネは、シンプルで飾り気がありません。赤のラインを入れ差別化を図っていますが、実用車のイメージから脱却しておらず、雰囲気を盛り上げる工夫が、もう少し欲しかったところです。

「ムーヴカスタム」は基本設計が古いため、トレンドの水平基調を取り入れたインパネではありませんが、曲線を用いたデザインは質感が高く、マイナーチェンジでさらに向上しています。

また、メーター内のマルチインフォメーションディスプレイが、「スティングレー」は小さく表示されますが、「ムーヴカスタム」は表示が大きく情報の確認性に優れています。

加速の「スティングレー」燃費の「ムーヴカスタム」

走り出すと気持ちよくアクセルに反応する「スティングレー」に対して、「ムーヴカスタム」は発進加速が緩慢で、常にアクセルを踏み込む必要がありストレスを感じます。

これはエンジンの特性とCVTの効率、車両重量が密接に絡み合い違いを生みだしており、低回転でも早くトルクが立ち上がり、それを効率良く伝えるCVTと軽い車重が、「スティングレー」の反応の良さに繋がっています。

また、「ムーヴカスタム」は燃費性能を重視しており、燃費効率が最も良くない発進加速時に、燃料制御を行っていると思われ、これも発進加速に大きく影響していると考えられます。

この制御は「Dアシスト」を使うと解除されますが、使用すると燃費が悪化するのは確実なので、使用しなくても「スティングレー」と同程度の加速はみせてほしいところです。

快適性の「スティングレー」安定感の「ムーヴカスタム」

「スティングレー」はステアリングが、自然に戻ろうとするキャスターアクションが弱く、リニアな感覚で好感が持てるのですが、直進安定性に欠ける部分があり、落ち着きが少し足りません。

ゆっくりと低いスピードで走っていると、快適で不安もないのですが、スピードが上がり路面状態が悪くなると、安定性が悪くなり直進でも気を使います。

さらに、柔らかい足回りがこれを助長しており、乗り心地は良いのですが、カーブでの安定性がなくスピードを上げることを躊躇させます。速い速度域でのボディの揺れの収まりが悪く、跳ねたままの状態が続いてしまうため、走行感覚が落ち着かなくなってしまうのです。

「ムーヴカスタム」のハンドリングは、直進性も良く安定感は高いのですが、キャスターアクションが強く、初心者には安心できるハンドリングですが、気持ちよく操るには不満が残ります。カーブでステアリングを切っても、もとに戻ろうとする力が強く、車が抵抗しているように感じられます。

また、安定感をもたらす足回りは硬めの味付けで、乗り心地が良くありません。ある程度のスピードから、フラットな乗り心地に変化しますが、段差の乗り越えや低速では硬く感じられる乗り心地です。

アメ車テイストなら「スティングレー」日本的なら「ムーヴカスタム」

「スティングレー」はアメ車的なテイストを持ち込み、インパクトのあるスタイリングで、軽自動車のスペシャリティーカーに、アプローチを行っています。このデザインは好きか嫌いかがハッキリと別れそうですが、これまでとは大きく変わったと認識させることはできます。

車の細部における造り込みも、「ムーヴカスタム」と比べると緩く大雑把な印象を与え、さらに、スタイルと合わせて足回りも、アメ車風に味付けされてしまったのは少し残念です。

「ムーヴカスタム」は燃費性能を気にするあまりに、エンジン性能が犠牲になり、これが走行フィーリングを悪くしています。しかし、足回りは乗り心地が悪くなっても、安定性を確保する車造りが行われており、基本性能を落とさない姿勢が垣間見えます。

この両車を選ぶなら、アメ車的な大らかな雰囲気のスタイリングが好きなら「スティングレー」で、日本的な細部に拘る車造りが好きなら「ムーヴカスタム」が良いと考えます。

走りのキャラクターは一長一短があり、安定性が低くてもアクセルに良く反応する「スティングレー」と、安定性は高いが走りにかったるさがある「ムーヴカスタム」で、どちらかが特に優れていると言うことはありません。

「スティングレー」と「ムーヴカスタム」の価格を比較

最後に「スティングレー」と「ムーヴカスタム」のメーカー価格を比較してみます。比較はともに中間グレードの、「スティングレー」“ X ”と「ムーヴカスタム」X  “ Limited SAⅢ ”です。

「スティングレー」“ X ”  1,488,240円(2WD)

「ムーヴカスタム」X  “ Limited SAⅢ ” 1,490,400円(2WD)

価格はほぼ同じで、マイルドハイブリッドシステムを搭載する「スティングレー」に、やや割安感を感じますが、車の熟成度の高さでは「ムーヴカスタム」が優れています。

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