ダイハツ「トコット」スズキ「ラパン」比較してみた

ダイハツとスズキの女性に向けた車「トコット」と「ラパン」の比較を行ってみます。

「トコット」は2018年2月で生産を終えた「ミラココア」の、ポジションを埋める車として同年の6月に登場しています。車のベースは「ミライース」をもとに開発が行われており、正式な名称はミラ「トコット」とされ、ミラシリーズを構成する一員です。

「トコット」の開発コンセプトは若い女性とされていますが、これまでの「ミラココア」とは違い、ムダな装飾を省いたシンプルなデザインは、若い女性だけでなく多くの人が乗れるスタイリングを実現させています。

スズキが若い女性に向けた車「ラパン」は、2015年6月に現行の3代目となるモデルが登場しています。3代目のモデルは「可愛いものは好きだけど、子供っぽいものは好きじゃない」との、ターゲットとなる若い女性の意見を反映させ、ナチュラルなシンプルさを求めたデザインとなっています。

また、初代はアルトをベースとして開発されたため、アルト「ラパン」と呼ばれていましたが、2代目からは「ワゴンR」のプラットフォームを使用したため、アルトの名称がなくなり「ラパン」と呼ばれるようになっています。

今回、比較対象とするグレードは「トコット」がX“SAⅢ”、「ラパン」が特別仕様車のFリミテッドです。

「トコット」「ラパン」のスペックを比較

2WD/CVTトコットラパン
全長(mm)3,3953,395
全幅(mm)1,4751,475
全高(mm)1,5301,525
室内長さ(mm)2,0002,020
幅(mm)1,3051,295
高さ(mm)1,2701,240
ホイールベース(mm)2,4552,460
トレッド前(mm)1,3051,295
後(mm)1,2951,300
車両重量(kg)720680
JC08モード燃費(km/L)29.835.6
エンジン最高出力(PS/rpm)52/6,80052/6,500
最大トルク(kg・m/rpm)6.1/5,2006.4/4,000

「トコット」は全高が高いため、室内の高さも「ラパン」を上回っていますが、長さと幅では「ラパン」が勝っています。

ホイールベースは「ラパン」が長く、トレッドの前は「トコット」後は「ラパン」が広くなっています。車両重量は「ラパン」が軽く、燃費性能も優れています。

エンジンの最高出力は同じですが、「ラパン」が低い回転域で発生させ、トルクは「ラパン」が「トコット」を上回り、発生回転域も低くなっています。

エッジを効かせた「トコット」四角くまるい「ラパン」

エッジを効かせた「トコット」と、角をなくし丸みをもたせた「ラパン」は、スタイリングコンセプトの違いが良く表れています。四角にシンプルに張り出した「トコット」に対して、「ラパン」はまるみのあるボディが、古典的でレトロな雰囲気をより感じさせます。

フロントが箱のように四角いカタチの「トコット」は、ヘッドライトと大きなバンパーに特徴があり、グリルと呼べるものがない顔つきはユーモラスな表情です。

「ラパン」Fリミテッドはグリル中央の大きなガーニッシュがなくなり、上下にメッキが配されるフロントデザインとなっています。格子型のグリルが露出した顔つきは、コンセプトのナチュラルに、より近づいた雰囲気となっています。

「トコット」はショルダーラインとドア中央にラインを2本もち、「ラパン」はショルダーライン1本と、膨らみのある面でサイドを構成しています。両モデルともにウィンド下端は水平なラインで視界を良くし、ドライバーの車両感覚を助けるデザインです。

「トコット」のリアはシンプルにラインを入れるデザインですが、「ラパン」は凹凸をつけ、変化のあるリアスタイルとしています。ルーフへは「トコット」がキツイ角度で立ち上がり、「ラパン」は緩やかに絞り込むデザインとしています。

「ラパン」はリアにトランクをもつようなデザインが、クラシカルでレトロな雰囲気を作り出し、「トコット」はリアクォーターパネルのラインが質感を与え、ボディ後半が退屈なデザインとなるのを防いでいます。

リアウィンドガラスは「トコット」の傾斜が強く、「ラパン」は緩やかにされています。

エンジンの最高出力は「トコット」と「ラパン」は同じですが、発生させる回転域は「ラパン」が低く、早くからパワーが得られ特性です。最大トルクでは「ラパン」が「トコット」を上回り、さらに低い回転域で発生させています。

燃費はエネチャージを搭載する「ラパン」が「トコット」を大きく上回っています。

「トコット」はスチールのホイールにカラーのフルホイールキャップで、「ラパン」はアルミホイールが履かされます。

タイヤは「トコット」「ラパン」ともに155/65R14サイズで、ダンロップエナセーブが装着されます。

似てるけど違う「トコット」と「ラパン」のインテリア

「トコット」「ラパン」ともに水平基調のインパネです。「ラパン」は木目調のトレイデザインと、助手席前の引き出し式インパネボックスが、家具を思わせる作りです。

1眼の大型メーターは両モデル共通ですが、マルチインフォメーションディスプレイは、「トコット」が大きく見易くなっています。「トコット」にはステアリングスイッチが装備されますが、「ラパン」には設定がありません。

「ラパン」は淡いカラーをインテリアに多く使い、「トコット」より明るさを強調するデザインです。

シートは「トコット」がセパレートタイプ、「ラパン」がベンチタイプを採用しています。「トコット」はインテリアカラーを落ち着いた色でまとめ、シートを淡い明るいカラーとすることでコントラストをつけ、「ラパン」は明るいインテリカラーに、落ち着いたシートカラーとしています。

リアシートは「トコット」「ラパン」ともほぼ同じで、膝周りに余裕はありませんが、なんとか長時間でも座れる広さを確保しています。

4名乗車時でのラゲッジスペースは、「トコット」がやや広く感じられますが、リアシートが一体可倒型で3名+荷物のような使い方ができません。「ラパン」は分割可倒式のため、「トコット」より使い勝手では有利です。

シンプルを追求した「ラパン」突き抜けた「トコット」

「トコット」「ラパン」ともに、若い女性の支持を集めることが大きな目標ですが、「トコット」は「ラパン」より、広い購買層を対象とできるスタイリングです。

「ラパン」も現行の3代目より、ナチュラルでシンプルな路線に変更し、ムダな装飾は影を潜めていますが、「トコット」はさらにそれを進め、シンプルさを極めるデザインです。

実際に対面すると、角を張り出させエッジを効かせた「トコット」は、角のまるみを強調する「ラパン」より大きな車に感じられ、「ラパン」はコンンパクトな印象を与えます。

車に乗り込むと全高の高い「トコット」は、着座位置も高めにされ「ラパン」は少し腰が沈み込むポジションです。このためヘッドスペースの余裕は、両車ともに変わりがないのですが、乗り降りの姿勢の自由度では、背の高い「トコット」が優れています。

シートに収まり見るスピードメーターは、「トコット」「ラパン」ともにホワイト基調で、シンプルに仕上げられています。

また、木目調のトレイや引き出し式のインパネボックスをもつ「ラパン」は、部屋の中に居る感覚を車内に作り出し、女性を強く意識したデザインです。「トコット」はやや女性よりと思える程度の、インテリアデザインで留めています。

ダイハツの悪さがない「トコット」スズキの良さがない「ラパン」

走り出すとセパレートタイプの「トコット」のシートは、そこそのホールド性があり体に馴染む感触ですが、「ラパン」のシートは硬さがあり快適さでは劣ります。シートの位置も背の低い女性を想定しているため、低いポジションとするとお尻の奥に体重が集中し、腰にかかる負担が大きくなります。

近年のスズキ車は柔らかいシートを採用し、触感が優しくなっていましたが、「ラパン」のシートの硬さは意外な印象です。

さらに「ラパン」はスズキ車特有の、軽量ボディを活かした発進加速の良さがなく、ドライバビリティも良くありません。走行中にアクセルを戻し踏み込むような場面に遭遇すると、ギクシャクとした動きとなり、スムーズな走行ができません。

「トコット」も発進加速は遅く反応は鈍いのですが、スピードに乗ると軽さが感じられるスマートな走りで、「ラパン」のようなギクシャクとした動きはありません。

走行性能はスズキがダイハツを上回っていると考えていましたが、「ラパン」ではその良さがなく、長時間のドライブは遠慮したくなるほどの仕上がりです。

また、「ラパン」はステアリングセンター付近の反応が曖昧で、フラフラとした直進性が悪い走りは、常に修正が必要とされ安定性に欠けます。「トコット」はステアフィールを改善し、まともな反応を示すようになったことで、操作しても素直で安心感があります。

室内の静粛性は同程度の静かさと煩さで、大きな差はありません。しかし、乗り心地は「トコット」が角の取れたマイルドな振動に抑えているのに対して、「ラパン」は路面からの振動が直接体に伝わり粗さがある乗り心地です。

総合的な性能では「トコット」が、「ラパン」を上回っていますが、「ラパン」のスタイルやインテリアに強く惹かれるなら、「ラパン」を選んでも満足感を得られると思われます。「ラパン」のもつ独特のレトロな雰囲気は、走行性能には左右されない価値観のユーザーを対象としています。

しかし、「ラパン」が女性を意識し過ぎていると感じるなら、「トコット」に試乗してみることをおすすめします。頑張り過ぎず上手い具合に力を抜いた「トコット」は、フツーに肩ひじを張らずに乗れる良さがあり、ホッと一息付ける愛着の湧くスタイルをしています。

「トコット」「ラパン」の装備と価格を比較

最後に「トコット」と「ラパン」の装備と価格を比較してみます。

試乗車は「トコット」がX“SAⅢ”「ラパン」がFリミテッドでしたが、グレードを合わせるため、「ラパン」はレギュラーグレードのSで比較してみます。

2WD/CVTトコットX“SAⅢ”ラパンS
予防安全システムスマートアシストⅢレーダーサポート
ヘッドランプLEDディスチャージ
コーナーセンサー標準装備
シートヒーター運転席
ドアミラー電動オート格納式電動格納式
運転席・助手席サイドエアバッグ、カーテンシールドエアバッグ標準装備
ステアリングウレタン本革巻
メーター音声案内標準装備
オートライト標準装備
USB電源標準装備オプション
バニティーミラー運転席・助手席運転席・助手席(照明付)
フロントドアガラスUVカットIRカット/プレミアムUVカット
エネチャージ標準装備
メーカー希望小売価格1,220,400円1,274,400円

「トコット」は最新のスマートアシストⅢや、サイドエアバッグ・カーテンシールドエアバッグを標準で装備し、予防安全、衝突安全性能を高めていますが、「ラパン」は前時代のレーダーブレーキサポートが装着され、予防安全性能では大きく見劣りします。また、サイドエアバッグ、カーテンシールドエアバッグは、オプションでも装着することができず、衝突安全性でも遅れをとっています。

「ラパン」が勝っているのは、シートヒーター、本革巻ステアリング、オートライトなどが装備され、フロントドアガラスがIRカット/プレミアムUVカット仕様となることです。

総合的に装備の内容を判断すると、「トコット」が有益なものを標準で多く装着しています。

メーカー希望小売価格はこの装備の差で、「トコット」が54,000円安く設定されており、コストパフォーマンスに優れています。

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