トロロッソ・ホンダ順調にプレシーズンテストを終了

F1GP2018年のプレシーズンテストが、スペインバルセロナのカタルニアサーキットで行われ、トロロッソ・ホンダは順調な滑り出しをみせました。

2017年のシーズン限りで、マクラーレンへのエンジン供給を取りやめ、新たなパートナーとして、トロロッソへエンジン供給することになったホンダは、このテストによりエンジンの信頼性を確認し、開幕戦のオーストラリアへ向けて大きな弾みをつけました。

ホンダは2015年よりF1に復帰し、2017年までマクラーレンとともに、GPシーズンを戦いましたが、プレシーズンテストよりトラブルが続出し、まともに走らないエンジンと不名誉なレッテルを貼られてしまいました。

しかしこの汚名を返上する時がいよいよ近づいています。

トロロッソ・ホンダは3番手となる走行距離を走破

トロロッソ・ホンダはカタルニアサーキット8日間のテストで、トータルの走行距離が参加チーム3番手となる3,827kmの走行を記録しました。

これをF1の決勝レースに換算すると、12レース以上に相当する距離を走破したことになり、昨年のマクラーレンでの振動問題や、エンジンシャットダウンなどのトラブルが続出したことと比べると、見違える程の進歩を見せています。

この好調さは、もちろんホンダエンジンの進歩もあるのですが、トラブルが絶えなかったのは、マクラーレンの車体やチームにより起こっていたことが、2018年のテストで明らかになっています。

これまで一方的にホンダエンジンを批判し、不調の原因を全てホンダの責任としてきたマクラーレンは、2018年もトラブルが続出し、新しいパートナートロロッソと組んだホンダは、順調に周回を重ねテストを終えています。

バルセロナテスト第1回1日目

カタルニアサーキットでのテスト初日となる、第1回の1日目にマクラーレーンはリアタイヤが外れマシンがクラッシュし、走行ができない状態となりその後テスト走行を再開しましたが、51周の周回で終わっています。

トロロッソ・ホンダは1日目より順調に周回を重ね、この日は93周を走り込み、初日より信頼性の高さを発揮しています。

バルセロナテスト第1回2日目

テスト2日目にマクラーレーンは、エキゾーストマフラーを止めるクリップが破損し、熱風がマシンの内部に吹き付けたことにより、走行を中断しチェックを行ったため時間を失い、37周を周回するに留まりました。

トロロッソ・ホンダはこの日も好調に周回を重ね、82周を走破しエンジンはトラブルフリーで回り続け、この日の走行したドライバー11人の中で、ピエール・ガスリーは6位となるタイムを記録しています。

バルセロナテスト第1回3日目

降雪により殆どのチームが走行を取りやめた中、マクラーレーンはこれまでのトラブルによる、テスト走行不足からの焦りからか、唯一タイムを記録するような走りを実施し、アロンソが2分18秒545をマークし11周の周回を行っています。

バルセロナテスト第1回4日目

マクラーレンはこの日、初めてトラブルもなく順調に周回し、2人のドライバーで合計161周を走行しテストを終えています。

タイムもこの日の2位となる、1分19秒854をストフェル・バンドーンがマークし速さをアピールしました。

トロロッソ・ホンダは147周を走り切り好調を維持し、レースにおける重要なデータを引き続き収集し、この日のテストを終えています。

バルセロナテスト第2回1日目

マクラーレーンは電気系のトラブルにより、午前中2回エンジンがシャットダウンし走行を中断、午後には油圧系のトラブルにより走行を断念、この日のチーム最小となる38周の周回に終わりました。

トロロッソ・ホンダはブレーキシステムに不具合が発見され、このトラブル復旧に午後の走行時間が費やされ、この日は54周の周回に留まりました。

バルセロナテスト第2回2日目

マクラーレンは、マシンからオイルがリークするトラブルが発生し、走行することができず時間を失い、57周の周回でこの日のテストを終えました。

オイルがリークした原因の調査と修復には、時間を要したことから重要で複雑な部分からの、オイルリークの可能性が疑われます。

トロロッソ・ホンダは前日のトラブルも解決され、この日も快調で119周を走行しレースに向けたデータを収集する中、初となる予選シミュレーションが実施され、1分19秒823のタイムを記録し、参加ドライバー14人中の5位のタイムを、ブレンドン・ハートレーがマークしました。

バルセロナテスト第2回3日目

マクラーレンのマシンは、この日はトラブルなく順調に周回を重ね、115周を走破しテストを終了し、タイムも13人中6位をストフェル・バンドーンがマークしています。

トロロッソ・ホンダは169周の周回を重ね、トロロッソ・ホンダのテスト最多周回数を稼ぎ出すとともに、前日に引き続き予選シミュレーションを実施し、予選モードにされモアパワーが与えられたホンダエンジンは、1分18秒363を記録し13人中の3位のタイムをピエール・ガスリーがマークしました。

バルセロナテスト第2回4日目

テスト最終日となるこの日は、マクラーレンにターボトラブルが発生し、パワーユニット交換のために時間を失い、93周を周回したに留まりましたが、予選アタックを繰り返したタイムは、この日の2位となる1分17秒784を記録し、テストを通算した総合のタイムでも3位となるタイムで、速さを猛烈にアピールしました。

トロロッソ・ホンダは2回目のテスト初日から、エンジンの耐久テストを行うため、1基のみを使用し走行を実施していましたが、午後にテレメトリーでの異常が確認されたために走行を中止しました。

それでも周回数は156周を走り込み、満足な予選シミュレーションが行えなかったにもかかわらず、タイムは1分18秒949をブレンドン・ハートレーがマークし、この日の7位を記録してテストを終了しました。

総力戦で安定感を見せ始めたホンダエンジン

2018年のバルセロナテスト8日間で、トロロッソ・ホンダのトラブルは、降雪のため走れなかった日を除くと、ブレーキトラブルと最終日のテレメトリーでの異常値から走行を取りやめた2日間だけです。

昨年までのトラブルに苦しめられたテストを、払拭するような順調な走行を見せています。

この安定した走行ができるようになった背景には、ホンダのレース活動における危機感があり、特にF1ではその傾向が顕著に表れ不振を極めていました。

このことから始まったモータスポーツ部門の改革がF1にも及び成果を出し始めています。

F1では今期から組織改革を行い、レース現場の責任者と研究開発及びレース・テストの運営責任者を分ける2トップ体制へと移行し、レース現場での負担を軽減させようとしています。

この変更によりF1プロジェクト総責任者のポジションがなくなり、長谷川祐介総責任者は退任し、ホンダの技術研究所主席研究員となり、新たな現場のトップとして、HPDアメリカ・インディカーレースのチーフエンジニアを務めていた、田辺豊治が任されることになりました。

田辺豊治はインディカーレースだけでなく、F1の経験も深く第1期マクラーレン・ホンダでは、ゲルハルト・ベルガー担当エンジニア、BAR ホンダではジェンソン・バトンを担当し、2008年にはF1開発の責任者を務めた経歴をもつ人物です。

この組織改革とともに、これまでF1エンジンの開発を、R&D SAKURAに全て任せていましたが、ホンダ全社によるバックアップを行い、総力戦でF1に臨む体制へと改めています。

まずはホンダジェットの品質管理技術が投入されており、昨年苦しめられたMGH-Uとターボのベアリングトラブルが、今年度のテストではその兆候が見られなかったことからも、その成果がうかがえます。

また震災による被害もエンジン開発に影響を及ぼしており、これまでは内製できた部品を外部に依頼するなど、製作スピードと品質管理に問題を抱えていましたが、それを従来の内製で作れる体制に整え開発スピードを上げています。

このようにしてホンダは、本来の姿を取り戻しつつあります。

2018年もトラブル続出のマクラーレン

マクラーレーンはホンダからルノーへと、パワーユニットをチェンジしましたが、順調に走行できたのは2日間しかなく、ルノーエンジンへと変わっても、相変わらずトラブルが続出しています。

マクラーレーンは「テストでは十分なデータを収集し何の問題もない」と豪語していますが、その走行距離は明らかに不足しており、8日間の通算走行距離2,789kmはテスト参加チームとして最も少ない走行距離です。

2018年型マクラーレンのデザインは、エンジンなどの冷却を行う空気取り入れ口、サイドポッドとインダクションポッドが極端に小さく、ボディの後半部分は絞り込みがキツい形状をしています。

これは空気抵抗を意識して採用しているものと思われますが、発熱量の多いルノーエンジンでは非常に厳しい環境下に置かれてしまいます。

大方の予想通りにテストではエンジン冷却に問題を抱え、急遽スリットを追加し対策を行うなど、最初のコンセプトから問題を露呈しています。

2015年のホンダエンジンを搭載する際にも、「サイズゼロ」の超コンパクト設計を打ち出し、無理なレイアウトをホンダ側に要請しました。

この要求に、何の躊躇もなく答えたホンダにも問題はあったのですが、この超コンパクトボディに対応したコンパクトエンジンは、様々な問題に直面しそれを解決することができずに、大幅なエンジン設計変更が行われ、現在F1で主流となるレイアウトを採用するに至っています。

このように現在のマクラーレンは、速さを追求するために、裏打ちの無い理想のデザインを採用する傾向にあり、他の部分でアドバンテージを得ることができない焦りが、ボディワークデザインに影響を与え、無理なコンセプトで造り出されています。

またチームの管理体制と、モチベーションの低さも改善される気配がなく、ホイールの脱落や部品の破損で貴重なテスト時間を失い、車体の問題によりエンジンが停止し、オイルラインに漏れが生じたことによる、エンジントラブルも昨年のテストと同様の症状です。

特に振動が酷いために、様々トラブルを引き起こしたとされる問題は、ホンダエンジンによるものではなく、マクラーレンが製作したギアボックスに起因していたことが明らかになり、2018年度のテストでも、この症状からトラブルを誘発したと考えられています。

マクラーレンは昨年よりも苦しい立場となった

2017年シーズンを終えてのホンダとマクラーレンの今期は、ともに進退のかかる勝負の年となっていましたが、先に出口を見つけたのはホンダで、より厳しい崖っぷちに追い込まれたのはマクラーレンです。

マクラーレンが2018年用に造り上げたマシンは、空気抵抗を減らすための無理なコンパクトデザインが、冷却問題を発生させ認識の甘さを露呈させてしまいました。

またトラブルによりテストに支障が出たことを隠すように、意味のないフルアタックを何度も行い、速さをアピールすることで、埋め合わせをしようとしているように見えます。

今後マクラーレンが主張するように、テストが問題なく終了しているのならば、レースで良い成績を残し、速さを証明することができると思われますが、そうではなくトラブルによりリタイアが続出し、2018年シーズンを終わることになると、責任者であるエリック・ブーリエは、苦しい立場に追い込まれるでしょう。

もうトラブルの責任を押し付けられる相手の存在はなく、マクラーレンが搭載するルノーエンジンはルノーワークスと、トップ3の一角を担うレッドブルが使用しており、彼らが好調に走る限りはエンジンがダメだとは通用しない立場となっています。

復活の兆しをみせるホンダは、批判を受け続けたマクラーレンを見返す闘志を秘めてシーズンに臨んでおり、より苦しい立場となったマクラーレンは、トロロッソ・ホンダだけには負けたくないと、意地を見せるレースを行うことになるでしょう。

順調にテストを終えたホンダと、トラブルが続出したマクラーレンこの2チームが、どのようなレースを見せるのか、2018年はチャンピオン争い以上に、興味の尽きないシーズンになりそうです。

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