VWの排気ガス不正問題を考えてみた

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VWの排気ガス不正問題は深刻化を深める

VWの排気ガス不正問題が拡大しています。

当初、VWが開発したディーゼルエンジン(2.0L4気筒エンジン)のみと思われていた、排気ガスの基準値不正問題が、グループ会社の、アウディが開発したディーゼルエンジ(3.0L6気筒)も、排気ガスの基準値をクリアしていないと、アメリカのEPA(環境保護局)から発表され、さらには、ガソリンエンジンまでもが、Co2の基準値をクリアしていないと、VWの内部調査で判明したとVWは発表しました。

Co2の基準値を、どのようなやり方で不正にクリアしたかについては、発表されていませんが、ディーゼルエンジンでは、「Defeat Device(ディフィート・デバイス)」と呼ばれる、排気ガスの室内試験のときのみに作動し、排気ガスが規制の範囲内に収まっているようにみせかける、排気ガス制御プログラムを搭載して基準をクリアしていました。

欧米はこの「Defeat Device(ディフィート・デバイス)」の使用を禁止しています。日本でも2013年10月に、3・5トンを超える貨物自動車にディフィート・デバイスの一般走行での使用を禁止しています。

VWはアメリカ市場での販売拡大が急務だった

しかし、なぜ自動車業界をリードする、ドイツのVWがこのような、不正を行ってまで、規制値をクリアしようとしたのか、大いに疑問がもたれています。

考えれられる一つの要因として、アメリカでの販売台数があります。世界販売台数では、トヨタ自動車とトップを争うWWですが、統計によると2014年度アメリカでのシェアは、トヨタが14.4%に対してVWは僅か2.6%しかありません。

新興国では、販売台数を誇るVWも、アメリカでの販売は大きくトヨタに水を開けられています。

トヨタの、アメリカでの販売好調の要因の一つは、世界で初めて量産されたハイブリッド車の存在があります。

ハイブリッド車は、充電が行われればエンジンが停止し、電気モーターで走行し、燃費も良い環境に優しいECOな車としての地位を確保しました。

ハリウッドスターも、ハイブリッドカー「プリウス」を使用し、環境に配慮していることをアピールし、双方にプラスのイメージを植え付けました。

その、ハイブリッド車に対抗しようとして、VWが送り込んだのが、クリーンディーゼル搭載車だったのです。(今では、クリーンディーゼルと、呼べなくなってしまいました)

燃費でもハイブリッド車に近づく、VWのディーゼル車はアメリカで販売を伸ばしつつありました。

そのような、状況の中で今回の事件は発覚しました。

何故、不正なプログラムを使ってまで、規制逃れを行ったかについてに戻りますが、VWにはトヨタを抜いて、世界販売台数1位になる強い野望(目標)が、経営トップにはあったと考えられます。

社内でライバルを抑え、株価を支える投資家の支持を得るためには、掲げた目標は必ず実現させ、利益を拡大させなければなりません。実現できなければ、責任を負わせれその地位を失ってしまいます。

VW経営トップは、世界販売台数1位をトヨタより奪取するために、強烈なトップダウンのもとに、販売計画を推し進めたと推測されます。

VWにとって、販売台数が少ないアメリカは、伸ばすことの出来る有望な市場です。又、ここでシェアを獲得することが、世界販売台数1位の座を奪取するために必要となります。

しかし、アメリカには厳しい排気ガス規制があります。特に、ディーゼル車にはハードルが高い規制になっています。(マツダはその規制の厳しさ故に、ディーゼル車の販売を諦めています。このマツダの判断は大いに評価されるところです)

VW社の技術開発部門には、世界販売台数トップになるためには、アメリカでの販売拡大が必要だ、なんとしても規制をクリアして、ハイブリッドに負けない性能の車を作れと、経営トップからのプレッシャーは相当なものが掛かっていたと思えます。

VW社の技術開発部門は、その重圧が掛かる状況では、早急に規制値はクリア出来ませんとは、とても言え無かったのでしょう。致し方無しに、不正なプログラムを積んだ車を送り出し、規制値をクリアさせてしまう。

VW経営トップの、行き過ぎた無理な販売計画と、自身の役職への固執が、今回のスキャンダルを生んだのではないでしょうか。

VWの社会的信用の回復は簡単ではない

不正発覚当初は、アメリカの粗悪な軽油に対するための措置だったとか、VWブランド車のコスト問題で、2.0L4気筒エンジンを搭載する車では、価格に転嫁できないので、やむなく使用したとの憶測がなされましたが、3.0L6気筒エンジンを搭載する、高価格の車にまで不正が指摘される事態に至っては、この考えも否定されてしまいます。

さらに、ガソリンエンジンのCo2の排出問題にまで発展しては、どう考えてもフォローの出来ない状態になっており、VW社の信用は完全に地に落ちてしまいました。

ドイツなどでは、Co2の排出量に応じて、環境に負荷を掛けない車の税金を安くする施策をとっており、ドイツ政府は、不正が行われ軽減された税金を、ユーザーに変わりVWに支払を求めると表明しています。

スズキとVWの、技術提携の話が拗れて、裁判にまで持ち込まれたことがありましたが、単なる技術提携の契約なのに、VWはスズキの経営にまで関与しようとしました。危機感を持ったスズキは、提携解除を申し入れましたが、VWが拒否し裁判に持ち込まれスズキ側の勝訴で終わりました。

これも、VW経営陣の思惑が透けてみえます。新興国で小型車販売が好調なスズキを、技術提携と言う話で誘い込んで乗っ取り、完全子会社化しようとしたのではないでしょうか。

なりふり構わぬ強引なやり方で、非常にダーティーです。

これから、VWは舵取りを誤ると、取り返しのつかない事態になることも想像されます。不正発覚後から、VWの車は急激に販売台数を落としていますが、罰金や保証には巨額の資金が必要となるでしょう。

間違ったリーダーが、経営のトップに立った結果が、長く続いたブランドを失墜させ、混乱を拡大させています。

トップに立つ人間には、人格、資質、正確な判断力が求められるます、行き過ぎた競争のグローバル社会では、難しいことなのかも知れませんが、それが欠如してしまえば、今回のような、大きなスキャンダルが起き、企業そのものの存続が危ぶまれる事態を、引き起こしてしまうのではないでしょうか。

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