安い自動車保険は本当にダメなのか!

自動車保険は1998年の自由化で、それまでは護送船団方式の同一保険料から、損保会社が独自に保険料を決め、商品を販売できるように法律が改正されました。

これにより損保会社は補償内容やロードサービスなども含め、保険料も他社との違いを明確に打ち出し、安い保険料で自社の優位性をアピールする損保会社もあります。

保険料が安くなると車の維持費が軽くなり良いのですが、高いとされる保険料の保険会社とはどのように違うのでしょうか。

スポンサーリンク
試乗記682×171

保険料が安いのは通販型の損保

自動車保険には代理店を通じて保険を販売する代理店型と、インターネットや電話などで契約できる通販型の損保会社があります。

一般的に通販型は直接ユーザーと契約するために、手数料などが発生する代理店型よりも、保険料が安いとされています。しかし、これはあくまでも一般的なもので、実際には年齢や補償内容の条件が変わると、必ず通販型の保険が安いとはならないこともあります。

この通販型の損保会社の中でも、自動車保険の保険料が安いとされているのが、SBI損保、三井ダイレクト損保、アクサダイレクト、チューリッヒ・ネット専用保険などです。

通販型と代理店型の保険料の違い

通販型と代理店型では保険料にどの程度の差があるのか確認してみます。比較するのは通販型の三井ダイレクト損保と、代理店型の三井住友海上です。どちらもMS&ADインシュアランス グループ に属し、関連会社となる保険会社です。

保険料の算出条件

  • 車種 プリウス zvw52
  • 対人賠償 無制限
  • 対物賠償 無制限
  • 対物超過特約
  • 人身傷害保険 3000万円(車内型)
  • 弁護士費用特約(自動車事故のみ)
  • 車両保険 一般型 保険金額420万円 5-10万免責
  • 保険等級 6等級
  • 免許証の色 グリーン
  • 使用区分 日常・レジャー使用
  • 走行距離 三井ダイレクト損保(10,000km以下)三井住友海上(無制限)
  • 運転者限定 本人・配偶者限定
  • 年齢31歳
  • 26歳以上補償
車両保険あり(円)車両保険なし(円)
三井ダイレクト損保81,52033,720
三井住友海上127,32057,710
差額45,80023,990

走行距離に制限がありますが、通販型の三井ダイレクト損保は、代理店型の三井住友海上より40%~30%程度安く、やはり保険料には大きな開きがあります。

事故初期対応時間

保険はもしも事故に備えて加入している商品です。事故対応は大事な部分だと考えますが、保険料が安いとされている、損保会社の事故初期対応時間を確認してみます。

事故の初期対応時間は実際に損保会社が、相手方に連絡し説明を行いアクションを起こす時間で、事故の受付だけを行う事故受付時間とは違います。

損保会社事故初期対応時間
平日休日
SBI損保9:00~19:009:00~17:00
三井ダイレクト損保9:00~19:00平日と同じ
アクサダイレクト9:00~17:00平日と同じ
チューリッヒ・ネット専用保険9:00~20:00平日と同じ

代理店型の代表的な損保(東京海上日動や損保ジャパン日光興亜など)が、24時間対応としているのに比べると、最も遅くまで対応しているチューリッヒ・ネット専用保険でも20時までと、保険料が安い損保の対応時間は短くなっています。

また、通販型の損保では上記の損保も含めて、初期対応を24時間体制で行っている保険会社はありません(2018年6月現在)。

事故処理スタッフ数

通販型の自動車保険会社の多くは、事故処理スタッフ数を公表していないのですが、通販型でもSBI損保だけは公表しているので、代理店型の保険会社と比較してみます。

保険会社従業員数(人)事故処理スタッフ数(人)比率
SBI損保45219944%
東京海上日動1,736810,70061%
損保ジャパン日光興亜25,82211,00042%
三井住友海上14,6506,40043%
あいおいニッセイ同和損保13,0526,40049%

事故処理スタッフが目立って多いのは、東京海上日動の61%で6割を超える人員を抱えています。それに続くのは、あいおいニッセイ同和損保で、従業員数の5割に近い49%の人員を確保しています。

SBI損保の事故処理スタッフの割合は4割強となっていて、損保ジャパン日光興亜、三井住友海上と同程度で、特別に少ないスタッフ数ではありません。

勤続年数

保険会社が社員に対して、どのような教育を行っているのかは、外部から知ることはできませんが、一つの指針として勤続年数の長さを目安にしてみます。勤続年数が長ければ良いというわけではありませんが、通常は同じ仕事に長く従事していると、さまざまな経験と知識を積み、スキルが向上して行くのが一般的です。

そのため事故対応などの品質が安定し易く、満足度が高く良質なサービスが提供される可能性が高くなります。

保険会社設立(年)勤続年数(年)
通販型SBI損保19993.5
三井ダイレクト損保19995.6
アクサダイレクト19985.9
チューリッヒ1986非公表
代理店型東京海上日動187911.4
損保ジャパン日光興亜189213.2
三井住友海上191812.6

代理店型の保険会社は歴史も古く、近年誕生した通販型の損保とは一律に比較できませんが、代理店型損保の勤続年数は10年を超えています。通販型の損保は代理店型の2分の1程度の勤続年数で、特にSBI損保の勤続年数は短くなっています。

ロードサービス

自動車保険のロードサービスは、保険商品に付加価値を与える大きなアピールポイントになり、このサービスを重視するユーザーも増えています。ロードサービスの内容を、同じグループ内の会社である、三井ダイレクト損保と三井住友海上で比べてみます。

三井ダイレクト損保三井住友海上
任意指定する工場への無料レッカー距離50km500km
ロードサービス出動拠点数3,5004.300
ガス欠時の燃料補給サービス2年目より初年度より
トラブル時の移動費補償なし(別契約)あり
トラブル時の宿泊費補償なし(別契約)あり
修理後の搬送費補償なし(別契約)あり

三井ダイレクト損保は、任意で修理工場を指定した場合のレッカー距離が短く(会社指定の工場へは無制限)、トラブル時の移動、宿泊費補償と、修理後の搬送費の補償がロードサービスでは補償されず、サービスの充実度では三井住友海上に劣ります。

付帯特約

基本的な対人賠償保険や対物賠償保険の補償額は、安い保険料の損保でも無制限で契約可能で、補償額に違いはないのですが、付帯できるさまざまな特約には違いがあります。

特約補償内容三井ダイレクト損保三井住友海上
人身傷害保険死亡保険金上限契約車両搭乗中に死亡した場合1億円無制限
重度後遺障害追加特約住宅改造・福祉関連・リハビリテーション関連費用が支払われるなしあり
ケアサポート費用特約ホームヘルパー・介護ヘルパー・ベビーシッター・保健施設預入れ・ペットシッター・ペット専用施設預入れ・医療情報提供サービス利用費用が支払われるなしあり
差額ベッド費用特約入院治療で個室を利用した場合に支払われるなしあり
車両保険無過失事故特約自分に過失がない事故では等級ダウン事故として扱われないなしあり
全損時諸費用特約(自動付帯)全損時に車の登録費用として保険金額の10%が支払われるなしあり
新車特約全損時や修理不能、修理費が保険金額の50%を超える場合に支払われるなしあり
全損70%特約保険金額70%以上の損害で全損扱いとなり支払われるなしあり
車両超過修理特約車両の修理費が保険金額を超えた場合に支払われるなしあり
地震・津波・噴火特約地震・津波・噴火による損害が支払われるなしあり
弁護士費用特約自動車事故のみ自動車+日常生活事故の選択が可能
日常生活賠償特約日常生活で賠償責任を負った場合に支払われるなしあり

三井住友海上では人身傷害での死亡保険金が、無制限に設定できる他に、様々な特約が用意され付帯可能です。しかし、ほとんどは自動付帯ではなく追加特約となり、手厚い補償を求めると保険料はさらに高くなります。

事故対応評価

価格comが契約者に向けに行っている事故対応の評価を、三井ダイレクト損保と三井住友海上で比べてみます。

三井ダイレクト損保の良い評価

  1. 事故現場での対応を丁重に説明され的確な行動を行うことができた。相手側へも納得した補償が行われスムーズに示談交渉が進んだ。経過報告も連絡もあり安心して任せることができた。(50代・男性)
  2. 事故現場での対応が的確になされ、落ち着いて行動することができた。修理工場も良いところが紹介され、保険金の支払も問題がなかった。(60代・女性)
  3. 自損事故を起こしたときに、まず身体の心配をしてくれた。領収書がない損害にも早く支払が行われ評価している。(40代・男性)
  4. 事故の初期対応は分かり易い説明がされた。書類のやり取りで時間がかかる部分もあったが、相手方の修理と自分の車の修理は順調に進んだ。(60代・男性)

三井ダイレクト損保の悪い評価

  1. 事故を起こした際にこちらの言い分を聞いてもらえなかった。事故処理に2カ月を要したことから疲れ果て、過失割合に納得しないまま示談交渉を終えた。(30代・男性)
  2. 担当者が親身な対応ではなく信頼感に欠けるため、弁護士費用特約を使い賠償問題を解決したが2年の月日を要した。人身傷害保険が使えずダイレクト型は当てにならないと感じた。(50代・男性)
  3. 事故発生時の対応は良かったが、過失割合での交渉において不満が残った。(60代・男性)
  4. 初期対応は良かったが、担当者が経験のなさが明白なほどの新人となり、相手方との交渉においてゴリ押しされ押し切られた。泣き寝入りするようなことになり、解決には不満が残った。(60代・男性)
  5. 初期対応は良かったが、身体の心配をするような心遣いがなく、事務的な対応に終始され淡々と案件を処理する姿勢だった。(40代・女性)
  6. 初期対応は良かったが、担当者が機械的な対応で気遣いがなく、事故関係者全てに不快な思いをさせ、相手方の態度を硬化させてしまった。(40代・女性)

紹介されている三井ダイレクト損保10件は、良い評価4件悪い評価6件と、悪い評価が良い評価を上回る結果でした。

三井住友海上の良い評価

  1. 始めての事故で動揺したが、担当者と直ぐに連絡がとれ的確なアドバイスがあった。安心して任せることができた。(50代・男性)
  2. 事故連絡の受付で親切な対応を受けた。事故担当者も迅速な対応で、事前にディーラーへ連絡がされていたため、スムーズな修理が行われた。(60代・男性)
  3. 事故の連絡を入れると現場へ担当者がきてくれた。損害は全て相手側の保険から支払われることになり無難な対応だった。(50代・男性)
  4. 事故の連絡を入れると的確な指示があり、担当者も現場に来てくれた。相手型へも担当者が病院に付き添うなど親切な対応があり、補償交渉もスムーズに進んだ。(60代・男性)
  5. 事故の連絡を入れると今後のことまで細かくアドバイスがあった。相手方との交渉も揉めることなくスムーズに運び、途中経過の連絡もしっかりと行われた。(40代・男性)
  6. 事故連絡はスムーズに繋がりその後のアドバイスがあった。対応はプロフェッショナルで心強く感じた。(50代・男性)
  7. オペレーターの対応に教育が十分に行われていると感じた。用件を忘れても再度連絡が入るので納得する話ができた。今後も継続して使うと思う。(30代・男性)
  8. 事故の連絡を入れると細かく対応を教えてくれた。事故後の対応も全て引き受けてもらえ、相手方から直接連絡がくることはなかった。今後も続けようと思う。(30代・男性)
  9. 被害者への担当者の対応が親身でありがたいと感じた。当事者の心を理解し接するところにその道のプロとしての意識を感じる。(30代・男性)

三井住友海上の中立評価

  1. 事故連絡を入れると担当者から折り返しの連絡が入り、直ぐに相手方と折衝となりました。経過方向は随時行われましたが、相手方の意向に沿うような雰囲気が伝わり、こちらの認識を伝えると、その方向で進められましたが時間がかかり、交渉力は普通と感じられた。(60代・男性)

三井住友海上は10件の中で9件までが良い評価となり、普通と評価されたのが1件のみで、対応の良さが窺えます。

安い保険料にはそれなりの訳がある

安い自動車保険の損保会社は事故対応時間の短さや、事故担当者の対応品質の悪さが、契約者からの評価からも窺えます。このことから社員教育に時間と費用をかけていないまたは、かけられない印象が、勤続年数の短さからも伝わります。

保険の補償も基本部分は押さえていますが、付帯できる特約は限られ、極めてシンプルな構成で良く言うとムダを省いたになりますが、必要な補償が付けられないこともあります。

このように安さを強調する損保会社は、かかるコストや補償項目を削減し、安い保険料を実現させているため、そのことを理解し加入する必要があります。フルサービスと言われるような、代理店型のメガ損保と同じ対応を期待すると後悔します。

安さを強調する損保会社は全てダメではないのですが、事故対応する担当者のレベルが安定せず、教育が行き届いていない社員が多く存在し、その人達にあたる確率が極めて高いと言うことです。

保険料を安くするなら知識を備えることも必要

サービスにはコストが存在し、安い金額で同じサービスが得られないことを、安い自動車保険を使う場合は認識しておく必要があります。例えると高級レストランで行われるサービスと、大衆食堂で行われるサービスが、同じではないことを考えると良いのかも知れません。

どちらも食べてしまうと、空腹は満たされ満足感はありますが、その質が違うのと同じように、安い保険料の保険でも補償はされますが、その過程においては至れり尽くせりではないと言うことです。

安い自動車保険を使用する場合は、自動車事故の損害には積極損害と消極損害があり、賠償も自賠責基準、任意基準、裁判基準などがあることを理解し、ある程度の知識を備えた上で契約することが望ましいと考えます。

自動車事故に対して一定の知識があると、保険会社の担当者が頼りにならない場合も、ある程度までの示談交渉なら対応できる可能性があります。

安い自動車保険だからできること

安い自動車保険のネガティブな面を述べてきましたが、これらの保険の大事な部分も述べておきます。

安い自動車保険は保険料が節約できるからと、安易な気持ちで契約するのはおすすめできませんが、保険料が高くて任意保険に入れないとする人達を、ある一定の割合で保険に加入させることに貢献していると考えます。

始めから任意保険は必要ないとする人は別ですが、任意保険の重要性は理解しているが、どうしても保険料が高過ぎるなど、任意保険を諦め未加入で車を運行することを防止する、セーフティーネットとしての機能をもっています。

安い自動車保険でも契約している限度額までは、補償が行われるので、重大な事故で自賠責保険の補償枠を使い切った後の備えとして、被害者救済にも大きな役割を果たします。

最後に自動車保険の支払で、どうしても納得ができない事態となった場合は、日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」に相談することができます。「そんぽADRセンター」は全国に11カ所設置され、損害保険会社とのトラブルや苦情の受付と、紛争解決の支援業務を行っています。

そんぽADRセンター北海道 011-351-1031そんぽADRセンター東北  022-745-1171
そんぽADRセンター東京  03-4332-5241そんぽADRセンター北陸  076-203-8581
そんぽADRセンター中部  052-308-3081そんぽADRセンター近畿  06-7634-2321
そんぽADRセンター中国  082-553-5201そんぽADRセンター四国  087-883-1031
そんぽADRセンター九州  092-235-1761そんぽADRセンター沖縄  098-993-5951

スポンサーリンク
試乗記682×171
試乗記682×171

シェアする

フォローする

関連コンテンツユニット1